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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ミルトニア(スペクタビリス系)

イメージ

原産地

ブラジル・コロンビア・エクアドル・アンデス山系

ラン科

高さ

20~70cm

花期

9~10月

【ベキシラリア系】3~8月

形態

多年草、着生、複茎性

別名等

ブラジリアン系(スペクタビリス系)


ミルトニオプシス(属名)/パンジーオーキッド(いずれもベキシラリア系)

日照

4月中旬~11月上旬の生育期は、戸外で10~20%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。

【補足】ベキシラリア系は、真冬は、葉が赤っぽくなるまでよく日光に当てる。

水やり

生育期は、用土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。越冬中は、生育期よりは控えめに。

【補足】越冬温度を高く保ち、越冬中もカラカラに乾かない程度に水を与える。

肥料

4月中旬~10月中旬に、10~14日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~6月に、固形肥料の置き肥。

【補足】開花中は窒素(N)を控える。ベキシラリア系は、7~8月に施肥を一切停止し、その代わり、9月にも置き肥を施す

植え替え

4月中旬~5月下旬。

【補足】腐った根は取り、生きた根は切らない。ベキシラリア系は、9月中旬~10月上旬に植え替えたほうがよい

整姿

葉のない古いバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切る。花が終わったら、花茎を根元から切る。

繁殖

【株分け】植え替えと同時期。

耐暑性

とても強い。

【ベキシラリア系】とても弱い。

耐寒性

最低13℃を保つが、できれば15℃欲しい。

解説

  1. 園芸上、「ミルトニア」と呼ばれるランは、高地性の「ベキシラリア系」と、低地性の「スペクタビリス系」の二系統がある。ここでは主に、後者のスペクタビリス系を取り上げている。
  2. スペクタビリス系のミルトニアは、ブラジルに自生する原種のスペクタビリスやレグネリーなどから改良された系統である。園芸品種が少なく、花も中輪だが、暑さに強く、強健で育てやすい。その他の原種には、クネアタ、クロウエシー、フラベッセンス、モレリアナなどがある。
  3. 代表種である原種のスペクタビリスは、一本の花茎に一個の花しか咲かないが、株によって、花色の変異が非常に多い。基本種の花色は白で、唇弁に黄色と赤紫色の模様が入る。変種のアルバは、白一色の花である。
  4. モレリアナは、昔、スペクタビリスの変種とされていたが、その後、別個の原種として独立したらしい。花の形はスペクタビリスと同じだが、花全体が赤紫色をしている。
  5. なお、ベキシラリア系のミルトニアは、現在、「ミルトニオプシス属」として、ミルトニア属から分離独立している。従って現在は、単に「ミルトニア」といえば、スペクタビリス系だけを指すことになる。
  6. ベキシラリア系のミルトニアは、上記のように、現在はミルトニオプシス属に属する。主な原種はアンデス山脈周辺に自生しており、ベキシラリアやサンタナエイ、ファレノプシス、ロエズリーなどがある。園芸品種が多く、春~初夏に、パンジーに似た大きな花をたくさん咲かせる。高山性のため、かなり暑さに弱く、暖地では育たない。
  7. ベキシラリア系ミルトニアは、真夏に生育が止まるので、その分、真冬に生育させる。そのためには、植え替えを秋に行い、真冬はよく日光に当て、最低気温を15~18℃に保つ。越冬中の施肥は不要だが、元気に新芽が伸びているようなら、2,000倍の液肥を週に一度くらい施す。
  8. ベキシラリア系ミルトニアは、オンシジウムなどと同様に、バルブ同士の間隔が詰まっておりで、すぐに鉢からはみ出すようなことはない。

注意点・病害虫

  1. スペクタビリス系のミルトニアは、長いほふく茎を持ち、バルブとバルブの間が離れている。すぐに鉢から出ていってしまうので、定期的に植え替えるか、ヘゴ板などに着生させるとよい。
  2. この仲間は、葉の色が薄く、淡黄緑色であることが多い。性質なので、肥料不足や日光不足ではない。
  3. ミルトニアの仲間は水を非常に好むので、夏場の水切れに注意が必要。別名「水トニア」。
  4. ハダニやカイガラムシが付きやすい。

余談

  1. 切り花の水あげは今ひとつである。

属間交配種(人工属)

ミルトニアは、オンシジウム、ブラッシアなどと近縁に当たり、種間交配種(人工属)も作られている。

  1. ゴミルトステレ…ミルトニア×ゴメサ×リンコステレ
  2. ゴムブラッシルトニア…ミルトニア×ゴメサ×ブラッシア
  3. ゴモニア…ミルトニア×ゴメサ
  4. シルトブラッソニア…ミルトニア×シルトキルム×ブラッシア
  5. ブラトニア…ミルトニア×ブラッシア
  6. ミルトキリジウム…ミルトニア×オンシジウム×シルトキルム
  7. ミルトキルム…ミルトニア×シルトキルム
  8. ミルトニジウム…ミルトニア×オンシジウム
  9. ミルトンシドステレ…ミルトニア×オンシジウム×リンコステレ
  10. ミルミトニア…ミルトニア×ミルトニオプシス
  11. ミルミルシジウム…ミルトニア×オンシジウム×ミルトニオプシス
  12. ミレンコシジウム…ミルトニア×オンシジウム×ゼレンコア
  13. リンコニア…ミルトニア×リンコステレ

(※データ:大阪市基準)