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素人園芸解説 -私はこう育てる-

オドントグロッサム類

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原産地

メキシコ~グァテマラの高地・コロンビア~ボリビア・エクアドル・ペルー・アンデス山系の高地

ラン科

高さ

10~100cm(種類による)

花期

11~7月

形態

多年草、着生、複茎性

別名等

オドント/オドントグロッスム/彗星蘭


ロシオグロッサム・グランデ(グランデの学名)
レンボグロッサム・コルダツム(コルダツムの学名)
レンボグロッサム・セルバンテシー(セルバンテシーの学名)
レンボグロッサム・ビクトニエンセ(ビクトニエンセの学名)
レンボグロッサム・ロッシー(ロッシーの学名)

日照

4月中旬~11月上旬の生育期は、戸外で10~20%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。

【補足】夏に生育できない分を冬に挽回させるため、越冬中はよく日光に当てる。

水やり

生育期は、用土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】真夏は根腐れしやすいので、やや乾き気味に管理。空中湿度も高めに保つ。雨に当てない。

肥料

3月下旬~6月下旬と、9月中旬~11月上旬に、10~14日に一度、1500~2000倍の液肥。

植え替え

3月下旬~4月下旬か、9月中旬~10月上旬。

【補足】腐った根は取り、生きた根は切らない。

整姿

葉のない古いバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切り取る。花が終わったら、花茎を根元から切る。

繁殖

【株分け】植え替えと同時期。

耐暑性

とても弱く、日中28℃を上回らないのが理想。

耐寒性

最低10℃を保つが、できれば15℃欲しい。

【補足】夏に生育できない分を冬に挽回させるため、加温して生育させる。

解説

  1. オドントグロッサム属は、すでに消滅しており、所属していた原種は全て、別の属(レンボグロッサム属やロシオグロッサム属)に移された。しかし、今でも「オドントグロッサム」として売られることがあるため、あえて、このページを残しておく。
  2. 主な原種には、ウィリアムシアヌム、グランデ、クリスプム、コルダツム、セルバンテシー、ノビレ、ビクトニエンセ、プルケルム、ペンデュルム、ロッシー、ワイアッティナヌムなどがある。このうち、クリスプムは、最も重要な交配親で、現在のオドントグロッサム系交配種は、大抵、この原種の血を引いている。プルケルムは、この仲間としては、比較的暑さに強い。
  3. オドントグロッサムは、オンシジウムやブラッシア、ミルトニアなどと近縁に当たる。これらの属の中には、耐暑性に優れる種類が存在するため、オドントグロッサムに耐暑性を持たせるなどの目的で、さまざまな属間交配が行われ、多くの人工属が作られていた。
  4. オドントグロッサムの原種は、花色が淡かったり、地味だったりして、華やかさに欠ける。しかし、花色が赤・橙・紅色などで美しいコクリオダ属(※この属も現在は消滅)と交配することにより、花色の幅が広がった。

注意点・病害虫

  1. この仲間の交配種は、花に独特な斑や縞模様、フリルなどが入ることが多く、とても華やかで美しい。ぜひ育ててみたいランだが、残念なことに耐暑性が無く、冷房設備がないと夏バテしてしまう。
  2. 最高気温の限界が28℃であるため、暖地はもちろんダメだが、冷涼地であっても、平野部・都市部では夏バテする可能性がある。夏バテしても、すぐには枯死しないものの、花は咲かず、バルブはやせ細り、年々弱っていく。できれば一日中冷房したい。
  3. 耐暑性の弱い植物全般に言えることだが、真夏の熱帯夜を特に嫌う。そのため、夜間だけでも冷房の効いた室内(15~20℃)に入れて栽培すると、少しはマシになる。が、冷房の効いた室内は湿度が低いので、加湿したほうがよい。戸外に置く場合は、夕方~夜にかけて数回打ち水をし、首振り式の扇風機を回して株の周囲の空気をかき回し、できるだけ涼しくする。
  4. 真夏は生育を完全に休ませ、株を弱らせないことに徹する。越冬中は室内で加温して15~22℃くらいを保ち、よく日光に当てて育てる。従って、実際の生育期は、初秋~翌年の初夏まで、となる。
  5. 赤~桃色系の花は、高温期に咲かせると、花色が薄くなる。
  6. 病気は、真夏に軟腐病が出やすい。害虫は、カイガラムシ、ナメクジに注意。

属間交配種(人工属)

オドントグロッサム系の属間交配種(人工属)には、下記のようなものがあった。現在は全て消滅している。交配種とはいえ、種類によっては暑さを嫌う。ブラッシアの血が入っているものは比較的丈夫。

  1. ウィルソナラ…オドントグロッサム×オンシジウム×コクリオダ
  2. オドンチオダ…オドントグロッサム×コクリオダ
  3. オドントシジウム…オドントグロッサム×オンシジウム
  4. オドントニア…オドントグロッサム×ミルトニア
  5. コルマナラ…オドントグロッサム×オンシジウム×ミルトニア
  6. デガルモアラ…オドントグロッサム×ブラッシア×ミルトニア
  7. バケララ…オドントグロッサム×オンシジウム×ブラッシア×ミルトニア
  8. ビーララ…オドントグロッサム×コクリオダ×ブラッシア×ミルトニア
  9. ブイルステケアラ…オドントグロッサム×コクリオダ×ミルトニア
  10. ブラゲアラ…オドントグロッサム×オンシジウム×コクリオダ×ミルトニア
  11. マクレラナラ…オドントグロッサム×オンシジウム×ブラッシア

(※データ:大阪市基準)