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素人園芸解説 -私はこう育てる-

オンシジウム(薄葉系)

イメージ

原産地

アメリカのフロリダ州~中南米

ラン科

高さ

10~200cm(種類による)

花期

周年(種類によるが、真夏は咲かない)

形態

多年草、着生または地生、複茎性

別名等

オンシ/オンシジューム/ムレスズメラン/バタフライオーキッド/ダンシングレディーズ/ダンシングレディーオーキッド


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

4月中旬~11月上旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。

水やり

生育期は、用土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。

肥料

4月下旬~10月上旬に、7~10日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~6月に、固形肥料の置き肥。

【補足】9月以降は、窒素(N)を含まない肥料を施す。

植え替え

4月上旬~5月下旬。

【補足】腐った根は取り、生きた根は切らない。

整姿

葉のない古いバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切り取る。花が終わったら、花茎を根元から切る。

繁殖

【株分け】植え替えと同時期。

耐暑性

わりと強いが、風通しよく過ごさせる。

耐寒性

5℃近くまで耐えるが、最低10℃を保つ。

解説

  1. オンシジウムの系統は、「薄葉系」「厚葉系」「剣葉系」「棒葉系」の四つに大別される。ここで取り上げているのは、切り花やギフト品でおなじみの「薄葉系」である。
  2. 最近行われたラン科植物の再分類によって、「厚葉系」「剣葉系」「棒葉系」の各種については、すでにオンシジウム属から別属に移されている。また、薄葉系も、主だった原種がゴメサ属やゼレンコア属などに移っていき、かつて大所帯だったオンシジウム属は、やや寂しくなってしまった。
  3. 薄葉系オンシジウムは、楕円型の扁平なバルブを持ち、しなやかな薄い葉を付ける。性質が丈夫で育てやすい。花色は黄色が多いが、淡紅色や、赤褐色の模様が入るものもある。
  4. 主な原種は、オーニソリンクム、オヌスツム、オブリザツム、ケイロフォルム、ソトアヌム、フォーベシーなど。交配種の「ケイロ・ククー」「スイート・シュガー」「トゥインクル」も人気。
  5. 上記の通り、オンシジウム属から、いくつかの原種がゴメサ属やゼレンコア属などに移っていった影響で、一部の交配種も、属名が変化している。例えば、かつてオンシジウムの人気品種だった「アロハ・イワナガ」「スイート・シュガー」などは、現在はオンシデサ属に属する。
  6. 薄葉系以外の系統(厚葉系・剣葉系・棒葉系)についても、簡単に触れておく。いずれも多肉質の葉を持ち、乾燥に強く、一貫して乾き気味に管理する。寒さには弱いので、越冬温度は最低10℃を保つ。
    • 厚葉系…主な原種は、スプレンディダム、ナヌム、ハリソニアヌム、ランセアヌムなど。葉が厚く多肉質。現在はトリコセントルム属に属する。
      また、かつて、この仲間に含まれていたクラメリアナ、パピリオ、ベルスティーギアナの三種は、現在はサイコプシス属に属する。これらは強い日光を嫌い、高い空中湿度を好む。耐寒性が弱く、冬は最低13℃を保つ。
    • 剣葉系…主な原種は、バリエガツム、プシルム、プルケルムなど。葉が短い剣(または鎌)状。葉が幾重にも重なり、明確なバルブを持たない。空中湿度を好む。現在はトルムニア属に属する。
    • 棒葉系…主な原種は、ジョネシアヌム、セボレタ(ロンギフォリウム)、ミクロキルムなど。葉が棒状。最も強光と乾燥を好む。現在はトリコセントルム属に属する。

注意点・病害虫

  1. 耐暑性はあるが、真夏は風通しのよい涼しい日陰で管理する。
  2. 種類によっては、毎年、新芽の位置が、少しずつ斜め上にせり上がる。放置すると、勝手に鉢から出て行ったり、鉢が不安定になったりする。そうなる前に植え替えるか、せり上がった部分だけを切り取って株分けする。
  3. 花茎が伸びている間に、小さなガの幼虫が、つぼみや花茎の先端部を食害し、開花しなくなることがある。つぼみや花茎の内部に入り込んでおり、見つけにくいので注意する。

余談

  1. 切り花の水あげはよいが、乱暴に扱うと花が落ちやすい。

属間交配種(人工属)

オドントグロッサム属、ブラッシア属、ミルトニア属などと近縁にあたり、下記のような属間交配種(人工属)が作られている。オンシジウムの血が濃い種類は、耐暑性が強く、花茎が分枝して、たくさん開花する傾向がある。

  1. イオノシジウム…オンシジウム×イオノプシス
  2. オンコステレ…オンシジウム×リンコステレ
  3. オンシデサ…オンシジウム×ゴメサ
  4. オンシドプシス…オンシジウム×ミルトニオプシス
  5. ゴモンシドキルム…オンシジウム×ゴメサ×シルトキルム
  6. シルトシジウム…オンシジウム×シルトキルム
  7. シルトシディステレ…オンシジウム×シルトキルム×リンコステレ
  8. シルトンシドプシス…オンシジウム×シルトキルム×ミルトニオプシス
  9. ハウエアラ…オンシジウム×レオキルス×ロドリゲッツィア
  10. ブラスシドステレ…オンシジウム×ブラッシア×リンコステレ
  11. ブラッシジウム…オンシジウム×ブラッシア
  12. ミルトキリジウム…オンシジウム×シルトキルム×ミルトニア
  13. ミルトニジウム…オンシジウム×ミルトニア
  14. ミルトンシドステレ…オンシジウム×ミルトニア×リンコステレ
  15. ミレンコシジウム…オンシジウム×ゼレンコア×ミルトニア
  16. ロドリシジウム…オンシジウム×ロドリゲッツィア

各種の和名・異名

  1. バプチストニア・エキナタ(エキナツムの異名)
  2. オブリザタム(オブリザツム)
  3. コロンビアバターカップ(ケイロフォルム)
  4. オーニソリンカム/オーニソリンクム(いずれもソトアヌムの異名)
  5. ダンシングドールオーキッド(フレキシオスム)

(※データ:大阪市基準)