ファレノプシス類
イメージ
原産地
中国南部・台湾・フィリピン・インドネシア・熱帯アジア・インド・オーストラリア北部
科
ラン科
高さ
3~100cm(種類による)
花期
4~6月
形態
多年草、着生、単茎性
別名等
胡蝶蘭/ファレ/コチョウラン/モスオーキッド
日照
4月下旬~10月中旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月中旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内で0~10%遮光。
水やり
生育期は、用土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。
【補足】葉の合わせ目に水をためない。花に水がかかると、灰色かび病が出る。
肥料
4月下旬~10月上旬に、7~10日に一度、1500~2000倍の液肥、加えて、5~6月に、固形肥料の置き肥。
【補足】8月以降は、窒素を含まない肥料に切り替える。最高気温が35℃を超える日が続くようなら施肥を停止する。
植え替え
4月下旬~6月下旬。
【補足】3年に一度行う。株が古くなると下葉が落ち、茎が伸び上がるので、そうなる前に植え替える。根の付け根と先端部分をできる限り傷めない。
整姿
花茎が伸びてきたら、支柱を立てて誘引する。光が一方向から当たるようにすると、花がそちらを向いて咲き揃う。花が終わったら、花茎を根元から切る。
繁殖
【高芽取り】5~9月。(花後、花茎を残しておくと、節から高芽が出ることがあるので、根が十分伸びたら、花茎ごと切り取って植え付ける。)
耐暑性
とても強いが、強光に注意。
耐寒性
10℃まで耐えるが、最低15℃を保つ。
【補足】できれば、どの種類も、最低18℃欲しい。
解説
- 「コチョウラン」の名で親しまれる、開店祝いギフトの定番中の定番。寒さに大変弱く、加温設備なしでは、少々やりにくい。また、強い直射日光を大の苦手とする。
- きわめて改良が進んでおり、花色は、白~桃~紅色のほか、淡黄~黄~黄緑色や淡青紫色など、かなり豊富。花弁に斑点や線模様が入る品種も多い。花の大きさは、大輪~中輪~小輪~極小輪まである。葉に斑が入る品種もある。
- 最近は、「ミニコチョウラン」と総称される、手のひらに載るような小型品種に人気がある。葉も花も小さく、室内で場所を取らない。
- かつては、近縁属であるドリティスとの属間交配種(人工属)として、ドリテノプシスがあった。しかし、ラン科植物のの大規模な分類変更のあおりを受けて、ドリティスはファレノプシス属に統合され、ドリテノプシス属は消滅した。代表種は、「ケニース・シューベルト」や「ハッピー・バレンタイン」「満天紅」などがある。
- 主な原種には、中輪の白花を咲かせるアマビリスや、黄緑色の花に赤い縞模様が入るアンボイネンシス、小型種で桃色花のエクエストリス、花茎が分枝し、たくさんの桃花を咲かせるシレリアナ、ごく小型種で、星形の花に芳香があるビオラセア、淡桃色の花弁や唇弁に、紅色の縞模様が入るリンデニー、白い花弁に紅色の斑点が多数入るルデマニアナなどがある。
- このうち、ビオラセアは、「ボルネオ島(カリマンタン島)原産で、花弁が黄緑色で唇弁とその周辺が赤紫色になるもの」と、「マレー半島~スマトラ島の原産で、花弁が桃~紅色で唇弁が紅色のもの」の二系統がある。そして最近、前者がビオラセアから分離され、ベリナという名に変更された。
- アマビリスやエクエストリスの血を引く系統は、株が比較的小型で、少し耐寒性があり、丈夫で育てやすい。中輪~極小輪の花が咲くものは、この系統であることが多い。
- 花弁に斑点の入る品種は、原種ルデマニアナの、線模様の入る品種は、原種リンデニーの血を濃く受け継いでいるらしい。
- 日本の暖地に自生するナゴランも、現在はファレノプシス属に統合されている。と同時に、ナゴランとファレノプシスの属間交配種であったセイドロプシスも、ファレノプシス属に変更になった。ナゴランについては、別ページで解説済み。
注意点・病害虫
- 熱帯植物だが、生育適温は20~28℃くらい。冬の低温はもちろんのこと、夏の極端な高温にも注意する。
- アマビリスと、その血を引く中~大輪系の品種群は、葉が4枚以上ある状態で、一日18時間で30~40日間、18~20℃の温度に当たり続けると、花芽ができるらしい。開花調節がしやすいため、一年中開花株が出回っている。
- よく知られているように、花後、花茎を2~3節残して切ると、再度花芽が出て二番花が咲く。が、体力の無い株だと弱るため、おすすめしない。ただ、6月以降の高温期(最高気温25℃以上)に花茎を残しておくと、花芽の代わりに高芽(子株)が出ることが多く、株を殖やすのに都合がよい。なお、原種の中には、花茎からよく高芽を出す種類がある。
- ビオラセアやベリナの血を引く品種は、一度花が咲いた花茎に、翌年も開花する。そのため、花後も花茎を切ってはいけない。
- 葉の合わせ目に水がたまると、軟腐病が発生しやすい。もし発生したら患部をよく乾かし、銅剤を散布する。治りにくく、枯死することが多い病気なので、日頃から通風に気を配り、予防に徹する。
余談
- 属名の「ファレノプシス」には「蛾のような」という意味がある。和名の「胡蝶蘭」のほうが美しい名前といえる。
- ギフト品は、ラベルが付いていないことが多く、正確な品種がわかりにくい。
(※データ:大阪市基準)