いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

園芸知識:園芸道具3

枝・茎・芝などをカットする

いろんな道具があるが、ハサミだけは必須。一つだけ買うなら、園芸バサミかフラワーバサミを。
いずれも刃物なので、使わないときは専用ケースなどで刃を隠しておく。消毒する場合は、刃をエタノールで拭けばよいが、ウイルス予防の消毒なら、直接火であぶるか、刃を第三リン酸ナトリウムの3~10%液に10~20分以上浸ける。

  1. 手バサミ…片手で持って使うハサミ。園芸用刃物の中では、最も使用頻度が高い。種類によって、持ち手にバネがある製品と無い製品がある。また、女性用や左利き用の製品もある。いずれを使うにせよ、手にしっくり馴染むものを選ばないと、無駄に疲れる原因となる。
    使用後は刃の汚れをよく拭き取り、乾かして保管する。ときどき、刃の裏表を砥石で研ぎ、カシメ(ネジ止めされ、支点になっている部分)に油を差す。刃が欠けてしまったら、研削盤(研磨盤、グラインダー)を使って修復するか、いっそプロに研いでもらう。なお、根を切るハサミは、根に付着した土で刃が傷みがちなので、茎葉や枝を切るハサミと共用しない方がよい。
    • 剪定バサミ…最も一般的なハサミ。主に、茎や枝などを切るのに使用。刃が「切り刃」と「受け刃」に分かれており、鋭い刃物状になっているのは「切り刃」だけである。(つまり、「片刃」。)切り刃は丸みを帯びており、急カーブのもの~なだらかなものまで、いろいろある。どの製品も持ち手にバネが付いており、刃が自然に開く。バネの形状は、ワイヤー状、コイル状、虫バネ、の3種類がある。切れる枝の太さは2cmくらいまで。太い枝を切るときは、刃のカーブに合わせながら、前後に回転させて切る。切りにくいからといって左右に動かしたりすると、刃こぼれしやすい。
      剪定バサミには、「左利き用」、ひと回り小型の「女性用」、切り刃を交換できる「替え刃式」の製品、太い枝の剪定も楽な「アンビル式(切り刃と受け刃が交差しない方式)」の製品、力の無い人でも太枝を切れる「ラチェット式(切る対象の太さによって、支点が移動する方式)」の製品、果ては、バッテリーを搭載した「充電式」の製品など、豊富なバリエーションがある。なお、ラチェット式の剪定バサミは、通常の約1/3の力で切ることができる。
    • 植木バサミ(木バサミ)…日本古来の両刃のハサミで、主に、細い茎や枝などを切るのに使用。持ち手部分が、滑らかな曲線を描いた輪っか状になっている。剪定バサミと違ってバネが無いため、手の力だけで刃を開閉させなければならない。持ち手の輪の中に全ての指を入れ、掴むように持つのが基本だが、決められ持ち方は特に無いらしい。切れる枝の太さは8mm程度まで。太い枝を切るときは、刃を左右に動かしながら切る。切りにくいからといって上下に動かしたりすると、刃こぼれしやすい。
      • 大久保バサミ…大久保彦左衛門(大久保忠教)邸に出入りしていた庭師が使っていた植木バサミ、といわれる。植木バサミと同様の形状だが、持ち手の輪が大きめ。
      • 華バサミ(華道バサミ)…植木バサミの一種だが、ほぼ、華道専用。「古流バサミ」と「池坊バサミ」がある。「古流バサミ」は植木バサミによく似るが、刃幅がやや広く、細かな剪定はできない。「池坊バサミ」は持ち手の先端が、ごく小さく巻き込んでいるだけ(「蕨手」といい、ワラビの新芽のように、くるりと巻き込んだ形状)で、植木バサミや古流バサミのような大きな輪になっていない。
    • 園芸バサミ(ガーデニングバサミ)…きわめて汎用的なハサミで、形状はさまざま。植木バサミに似た製品から、剪定バサミに似た製品まで、いろいろある。切った枝などを落とさないよう、ストッパーが付いた製品もある。
    • クラフトバサミ(万能バサミ、フラワーバサミ)…植木バサミに似た両刃の製品と、剪定バサミに似た片刃の製品がある。とても軽くて錆びにくく、針金やヒモなど何でも切れるので便利。形状はさまざま。クラフトバサミは本来クラフト用だが、切り花・園芸用に特化したものは「フラワーバサミ」と呼ばれる。
    • 盆栽バサミ…盆栽専用の、汎用的なハサミ。きわめて多用途である。植木バサミに似るが、全体的に細長く、切れる枝の太さも7mmくらいまで。用途によって、さまざまな形状の製品がある。
      • 小枝切りバサミ…主に、小枝や細枝を切るのに使用。込み入った枝でも切りやすいように、柄が長く、刃幅が狭い。さまざまな形状の製品がある。
      • さつきバサミ…小枝切りバサミと同様の形状・機能である。サツキ専用、というわけでもない。
      • 葉刈りバサミ(葉切りバサミ)…主に、葉を刈るのに使用。柄が短く小型で、刃が長い。通常は植木バサミと同様の形状だが、手芸で使う「握りバサミ」を細長くしたような、独特な製品もある。松葉専用の製品もあり、刃が長く、ヤニが付きにくいのが特徴。
      • 芽摘みバサミ(芽切りバサミ)…主に、芽を切るのに使用。枝の込んだ場所でも作業しやすいよう、柄が細長い。刃は短めで、幅が狭い。さまざまな形状の製品がある。
      • 又枝切りバサミ…二又、三つ又になった枝のうち、不要な枝を切るのに使用。剪定跡が目立たないよう、えぐり気味に切れるのが特徴。
      • コブ切りバサミ…太い枝や、枝にできたコブを切るのに使用。こちらも、剪定跡が目立たないよう、えぐり気味に切れる。
      • 針金切りバサミ…樹形作り用に巻く針金を、適当な長さで切るのに使用。大きさによって、切れる針金の太さが違う。
    • 摘果バサミ、ブドウバサミ…芽切りバサミとほぼ同様のもので、やや刃が厚く、刃先が尖っている。
    • 採果バサミ…主に、果実を収穫するのに使用。摘果バサミに似るが、真横から見ると、刃が一方向に反っている。
  2. 太枝切りバサミ…手バサミでは切れない、太い枝を切るのに使用。刃の形状は剪定バサミに似た「片刃」で、長い柄が付いている。この柄を両手で持って使う。剪定バサミと同様 力が無くても楽に切れる製品があり、切り刃と受け刃が交差しない「アンビル式」や、切る対象の太さによって支点が移動する「ラチェット式」、切り刃の基部と受け刃にギアが付いている「ギア式」などが市販されている。
  3. 刈り込みバサミ…庭木の樹形づくりや、生垣の刈り込みなどに使用。茅葺き屋根に使う「屋根バサミ」から生まれたらしい。両刃のハサミで、長い柄があり、両手で持って使う。真横から見ると、刃がわずかに上方に反っている。(刃の角度を自由に変えられる製品もある。)刃先の交換が利く「替え刃式」の製品や、柄の長さを調節できる「伸縮式」の製品、それぞれの刃にギアが付いており、力の弱い人でも使いやすい「ギア式」の製品などもある。
    刈り込みバサミは刃が表側に反っているので、刈り込む面の形によって、裏表を変えながら使う。基本的に、刈る面に対して刃が平行に当たるようにすれば、きれいに仕上がる。刈り込み時、両方の腕を一緒に動かすと疲れるので、片方を固定し、利き腕を動かして切る。
  4. 芝刈りバサミ…狭い範囲の芝を刈るのに使用。刈り込みバサミに似るが、全体的に小さい。また、芝は軟らかいため、刃が薄くなっている。柄に対する刃の角度が急なので、低い位置にある芝を刈るのに都合がよい。片手で扱える、ごく小さな製品もある。
    1. 回転式芝刈りバサミ…刃先が自由に回転するため、狭い場所や障害物の際に生えている芝まで、きれいに刈れる。
  5. 高枝切りバサミ(高枝採取バサミ)…手を伸ばしても届かない、高い位置にある細枝を切ったり、果実を収穫するのに使用。切れる枝の太さは7mm程度まで。先端の刃は剪定バサミと同様の形状で、「切り刃」と「受け刃」から成る。多くの製品は、切った枝や果実を落とさないよう、受け刃にキャッチ金具(枝ばさみ、枝つかみ)が付いているが、片側にしか無いので、ハサミを入れる方向を間違うと落としてしまう。柄が非常に長い。伸縮式のものは、最大で3mくらいまで伸びる。手元のグリップを握って刃の開閉を操作する。先端の刃を外してノコギリに付け替えられる製品もある。
    • ロープ式高枝切りバサミ…切りたい枝に引っかけて手元のロープを引くと、切り刃が引っ張られて動き、枝が切れる仕組み。あまり見かけない。
  6. 園芸用ノコギリ…工具のノコギリとは異なり、歯にノコ屑が詰まりにくい。普通は、刀身の片側だけに歯が並んでいる。使用時は、前後に動かしながら切るが、実際に切れるのは引く動作の時なので、その時だけ力を入れる。刀身の部位によって歯の大きさを変えた製品もある。歯が細かいほど切断面がきれいだが、切り終わるまで時間がかかる。
    持ち運びに便利な折りたたみ式の製品、切れ味が悪くなったら刀身ごと変えられる替え刃式の製品などもある。使用後はノコ屑を取り除き、油を塗っておく。ノコギリの歯は、先端に曲がり(「アサリ」「歯振」などと呼ぶ)があるため、砥石などで研ぐことはできない。丁寧に手入れする時は専用器具でアサリを調整し、「目立てヤスリ」で研ぐが、難易度が高い。最近はアサリの無い製品も多いが、それでも研ぎにくいことに変わりはない。(替え刃式の製品が多いのは、手入れの難しさゆえである。)
    • カーブソー…刀身が内側に緩やかにカーブしており、切断作業がしやすい。
    • 竹切りノコギリ(竹引きノコギリ、万能ノコギリ)…タケ切断用のノコギリ。刀身が薄く、歯が細かいため、切りにくいタケもきれいに切れる。プラスチックなども切れるので便利。
    • 太枝切りノコギリ…刀身が厚く、丈夫な造りのノコギリ。太枝といっても、直径10cmくらいが限界。
    • チェーンソー…電動ノコギリ。近年は、小型の製品も増えてきた。動力は、ガソリン式と電動式がある。前者はパワーがあり、後者は軽量。
  7. ナイフ、小刀…挿し木や接ぎ木の際、挿し穂・接ぎ穂の切り口をきれいに整えたり、接ぎ木の台木に切り込みを入れたりするのに使用。また、取り木や根回しの際に行う「環状剥皮(ぐるりと樹皮をはぎ取る作業)」や、盆栽の「ジン(樹皮を削り取り、わざと枯らした枝)」を作るのにも使う。対象物が小さければ、カッター、カミソリなどでも代用できる。使用後は刃の裏表を水で濡らした砥石で研ぎ、水気を拭いて保管する。
    • フローリストナイフ…切り花の切り口を整えて、水あげを良くするために使う、片刃のナイフ。園芸用としても使い勝手がよい。折りたたみ式の製品もある。
    • 接ぎ木ナイフ(切り出しナイフ、切り出し小刀)…刃と柄が一体化した、片刃のナイフ。折りたたみ式の製品もある。右利き用と左利き用がある。
    • 芽接ぎナイフ…芽接ぎ(接ぎ木の一種)専用。折りたたみ式の小さな両刃のナイフ。刃の反対側がヘラになっており、樹皮を剥ぐのに適する。
  8. バリカン(ヘッジトリマー、電動トリマー、庭木カッター)…文字通り、大きなバリカン。本体から細長い金属板が伸び、その両側に刃(レシプロ刃)が並んでいる。刈りクズが飛んでこないよう、防塵カバーも付いている。エンジン式と電動式があり、電動式には、コード式と充電式(コードレス式)がある。また、充電式はさらに、ニカド電池式と、リチウムイオン電池式に分かれる。
    意外と重く、動作中の振動も激しいので、腕力の無い人は小型の製品を使う。刃が刈り込み面に対して水平になるように当て、下から上に向かって動かせば刈り込みやすい。刈り込みバサミより簡単に扱え、作業も早く終わるが、切り口が汚くなりやすく、刈り込みバサミほどきれいに仕上がらない。また、騒音もある。使用後は歯の汚れを拭き取り、油を塗っておく。刃が摩耗してきたら、新しい刃に付け替える。
    • 芝生バリカン(芝生カッター)…狭い範囲の芝生の刈り込みに使用。大きな芝刈り機と違って小回りが利き、便利である。コード式と、充電式(コードレス式)がある。芝は軟らかいので、庭木用のバリカンほど強く振動したり、大きな音を立てることはない。刃にガードが付いていないと、刃が石などに接触した時に危険なので、ガード付きの製品を選びたい。
  9. 芝刈り機(モアー)…広範囲の芝生の刈り込みに使用。除草専用の草刈機や刈払機とは構造が異なり、車輪の付いた本体を両手で押しながら刈る。(芝は一定の高さに刈り込まないと見た目が悪いため。)刈り込みの方式によって、「リール式」「ロータリー式」「ハサミロータリー式(回転ハサミ式)」に分かれる。動力は、エンジン式と電動式(コード式、コードレス式)があるが、エンジン式は業務用であることが多い。
    作業が終わったら、刃や本体に付着した汚れを拭き取り、刈りカスやゴミを取り除く。製品によっては、専用の手入れ剤が市販されている。刃が摩耗してきたら、スペアの刃に付け替えが可能。芝刈り後は、芝生の間に残ったサッチ(刈りクズ)もクマデで掻き出し、病気の発生を防ぎたい。
    • リール式…螺旋状の刃が縦回転し、固定式の受け刃で挟み切る方式。最も一般的な芝刈り機で、手動式の安価な製品もある。ただし、長く伸びすぎた芝の刈り込みには向かないうえ、小回りが利かないので、障害物のある場所や、芝生の際(エッジ)の刈り込みがしにくい。芝生の表面が凸凹になる「トラ刈り」になってしまうこともある。
    • ロータリー式…ロータリー刃が水平に回転する方式。長い芝でも刈り込めるが、切断面が汚いため、芝が傷口から枯れ込みやすい。
    • ハサミロータリー式(回転ハサミ式)…回転刃が水平に回転し、固定式の受け刃で挟み切る方式。一番欠点が少ないが、製品数も少なめ。
  10. ターフカッター…T字型の長い柄の先端に、半円状の刃が付いている。この刃を、伸びすぎた芝生の際(エッジ)に差し込んで直線的に整えたり(「トリミング」という作業)、芝生の中に差し込んで根を切断し、芝の生育を調節(「根切り」という作業)する。

水・液肥を与える

ジョウロか水差しのどちらかは、ほぼ必須である。

  1. ジョウロ(如雨露)…最も使用頻度の高い道具の一つである。水を入れる「タンク」から細長い「筒部」が伸び、その先端に「ハス口」と呼ばれる水流調節器具が付いている。材質は、プラスチック製、真鍮性、ステンレス製、銅製など。タンクに入る水の容量は、2~5リットルくらいが主流。10リットル入る大型の製品もあるが、手に持った時に重いので注意する。ハス口が目詰まりしやすいので、交換が利く、着脱式の製品を選んだ方がよい。製品によっては、タンクの上にある注ぎ口や、筒の付け根部分に、ゴミ混入を防止する金網が付いている。
    ハス口を上に向ければ水の出方が穏やかになり、下に向けると、やや強くなる。使用後はハス口を軽く洗っておくとよい。
    • 英国式ジョウロ(英国型ジョウロ)…筒部がとても細長く、ハス口の穴も細かい。水流が緩やかになり、優しく水やりできる。金属製の製品が一般的で、材質は真鍮や銅など。いちおうプラスチック製もある。
  2. 水差し…基本形状はジョウロに似るが、かなり小型で、ハス口は無い。液肥を希釈しやすいよう、タンクに目盛りが付いていることが多い。インテリア性を重視したデザインの製品が豊富。見た目を気にしなければ、ヤカンや急須でも代用できる。
  3. 霧吹き…加湿などの目的で、茎葉に優しく霧水を吹きかける。園芸用の製品もあるが、普通のアイロン用霧吹きで足りる。なお、薬剤散布用には、やや大型の「ハンドスプレー」を使った方がよい。
  4. バケツ…水を溜めたり、道具を洗う時などに使う。プラスチック製が一般的だが、ブリキ製、ラバー製の製品もある。色やデザインはいろいろ。目盛りの付いた製品は、液肥や薬剤の希釈に便利。
  5. ホース…広い範囲に散水する際に使用。長さや太さ(内径)、素材はさまざま。使わないときは中の水を抜き、折ったりねじったりしないように巻いておく。
    • 普通のホース…ビニール製の安価なホース。折れやねじれに弱いうえ、古くなるとベタついたり、裂けたりしやすい。また、気温が下がると硬くなって扱いにくい。ただ、これらの欠点を克服した製品もある。
    • 耐圧ホース…ビニールが二重構造になっており、その間に、補強された糸が編み目のように入っている。高い水圧にも耐えられる。普通のホースに比べ、若干硬い。
    • 耐圧防藻ホース…耐圧ホースに似るが、ホースの内部に紫外線を遮断する黒色の層があり、内部の藻の発生を防ぐ。
    • 耐寒ホース…低温にあっても硬くならず、内部の水が凍結しても破裂しない、耐寒性と弾力性を備えたホース。
    • コイルホース…全体が螺旋状に巻いているホース。巻き取りが不要で、収納しやすい。
  6. ホースリール…長いホースを巻いて収納する道具。さまざまな色・デザインの製品がある。ハンドルを回してリールを回転させ、ホースを巻き取る。巻き取るときに、折れやねじれができないよう注意する。
    • ホースハンガー…短めのホースを適当に巻き、引っかけておくためのハンガー。
  7. ジョイント…いずれも水回り品。以下の三種類がある。
    • 水栓とホースをつなぐジョイント…蛇口とホースに取り付ければ、ワンタッチで着脱できて便利。使わない時は水が出ないが、だからといって、水栓を開けっ放しにしていると傷むので注意。また、劣化によって水漏れすることもある。
    • 散水ノズルとホースをつなぐジョイント…ノズルとホースに取り付ければ、ワンタッチで着脱・ノズル交換ができて便利。
    • ホース同士をつなぐジョイント…別のホースを足して長さを延長する製品と、二又に分岐させる製品がある。「ホースバンド」を使い、しっかりホースに固定しないと、水圧で外れることがある。二又に分岐させるジョイントには、必要な方だけ水を流せる、コック付きの製品もある。
  8. 散水ノズル…ホースで水やりする際の必需品。筒の先端にハス口が付いており、水の勢いを弱める。長さや形状はさまざま。手元で水を止めたり出したりできるコック付きの製品が便利だが、その場合、水栓との接続がしっかりできていないと外れることがある。また、ホースの破裂を防ぐため、耐圧性のホースを使うのが望ましい。
    • スプレーノズル(シャワーノズル)…水鉄砲のような形状の散水ノズル。水の出方のパターンを自由に調節できて便利。
  9. スプリンクラー…広い面積に、一気に水を与える際に使用。水の飛距離は調節できる。タイマー付きの製品もあり、時間を決めて散水することも可能。製品の形状によって散水できる形も異なるので、使用する場所にあった製品を選ぶ。
    • 二方式(ダブルアーム式)…散水アームが二方向に付いており、回転しながら円形に散水する。
    • 三方式(トリプルアーム式)…散水アームが三方向に付いており、回転しながら円形に散水する。
    • パターン式…円形のパターンを回転させることで、散水の形状を自由に選べる。散水形状のパターンは、大きな円形・小さな円形・霧状の円形・半円形・一方向扇形・二方向扇形・長方形・正方形などさまざま。
    • ハング式…温室などの天井に取り付け、下方に向けて散水させる。散水形状は円形。
    • ローン式(ライン式)…一方向を向いた複数の散水アームが、扇形に水を噴射し、長方形の範囲に散水する。
  10. 散水チューブ(穴あきホース)…一見、ただのホースだが、小さな穴が多数あり、水を通すと穴から出てくる仕組み。少しずつ水がにじみ出る製品と、勢いよく吹き出す製品がある。設置の仕方によって、散水の形状を自由に変えられる。
    • 滴下チューブ(ドリップホース)…温室や庭などに張り巡らせ、少しずつ水を滴らせるホース。ごく小さな穴から水を出すため、目詰まりを防ぐ濾過器(ストレーナー)を取り付けて使用する。
  11. 液肥混入器…ホース用のジョイントと、希釈前の液肥を入れるボトルから成る器具。これをホースとノズルの間に装着し、普通に散水すれば、自動的に液肥が希釈され、ノズルから出てくる仕組み。手元のダイヤルで希釈濃度を調節できる、便利な製品もある。
  12. 自動水やり機(自動灌水装置、水やりタイマー)…留守中の水やりに使用。本体から伸びる水やり用のノズルを鉢土に差し込み、タイマーを設定する。設定時間が来るとチューブから水が出る仕組み。ノズルを付け替えれば、スプリンクラーのように水を霧状に散布できる製品もある。製品によって、同時に水やりできる鉢の数や、水やりできる量・回数・時間はさまざま。水分センサー付きの製品もあり、それを使えば、土がまだ湿っているのに水やりしてしまう、という無駄を省ける。電源は、ACアダプター式と乾電池式がある。
    本体への水の供給方法には、蛇口に直接機器を接続する「水栓式(水栓直結式)」と、内蔵のタンクに水を溜めておく「タンク式」がある。水栓式の製品は、蛇口との接続がいいかげんだと漏水事故につながる。また、タンク式の製品は、タンクが空っぽになると水やりできない。どの製品を使うにしろ、事前に必ず試運転期間を設け、失敗の無いことを確認しておく。
  13. ペットボトル用のノズル…細長い円錐形のノズルで、水を入れたペットボトルに取り付け、逆さにして鉢土に差し込めば、少しずつ水が浸み出す仕組み。効果のある期間は、鉢土の量や植物の種類、季節などに左右されるが、数日はもつ。
    また、円錐形ノズルからチューブが伸び出た製品もある。こちらは、水を入れた容器を鉢の横に置き、チューブの端を容器の底に沈め、ノズルを鉢土に差し込んで使用する。鉢土が乾いてくれば、毛細管現象によってチューブに水が上がり、ノズルから供給される仕組み。使用前にノズルとチューブの中の空気をしっかり抜き、水で満たしておかないと、鉢土が乾いても水が上がらないので注意。
  14. 保水剤…鉢土の中に混ぜると、水分を多めに保持でき、鉢土の乾燥が遅くなる。ゲル状(ゼリー状)の製品と、液状の製品がある。恒久的に使えるわけではなく、数ヵ月で効果が無くなる。

薬剤散布時に使用

  1. 計量カップ(目盛り付きカップ)、目盛り付きバケツ…薬剤や液肥の希釈時に使用。容量はさまざま。プラスチック製の製品は、有機溶媒を含む乳剤を直接入れると、表面が溶けるので注意する。
  2. スポイト…薬剤や液肥の希釈時に使用。普通は樹脂製。ガラス製の製品もあるが、とかく割れやすいため、園芸用途には不向き。
  3. 薬剤噴霧器(薬剤散布機)…薬剤を散布するのに使用。大きく分けて、手動で薬液を加圧しと噴射させる「畜圧式」、電源コードが付いており、モーターで噴射させる「電動式」、電源コードを引き回さずに済む「電池式」の三種類がある。畜圧式の製品は、加圧しすぎても大丈夫なように、安全弁が付いている。いずれも、タンクからチューブが伸びており、その先に、長い金属製ノズルがある。ノズルの基部にはグリップがあり、これを手で握ると薬液が出て、離すと止まる仕組み。グリップを固定すれば、薬液を出しっ放しにできる。タンクに入る薬液の量は、製品によって、1~6リットルとさまざま。ノズルの先端を調節することで、薬液を直線的に噴射したり、霧状に散布できる。
    ポンプやノズルの継ぎ目などにパッキンが使われており、これが劣化すると薬液漏れの原因となるので、新しいパッキンに取り替える。(パッキンが別売りされていなければ、本体ごと買い換える。)使用後は、残った薬液を土に染みこませて使い切り、タンクに水を入れて数回、しっかりとすすぎ、さらに、チューブとノズル内を洗浄するため、水の散布をする。(植物にかけるのではなく、地面などに向かってしばらくの間、水を噴射させる。なお、洗浄に使った水も土に染みこませ、絶対に下水道や川・池などに流してはいけない。)よく洗浄したら自然乾燥させ、保管する。高温になる場所に保管するとパッキンの劣化が早まるので注意。
    • ハンドスプレー…容量500ml~1000ml程度の、ごく小さな噴霧器。さまざまな形状があり、ノズルの付け替えができる製品や、タンクにペットボトルを使用する製品もある。小さいながらも畜圧式になっている、本格的な製品もある。
  4. マスク…薬剤の散布中、霧状になった薬液を吸い込まないよう装着する。風邪用のマスクとは異なり、鼻や口部分に沿った丸みのある形状をしており、すき間ができないよう工夫されている。花粉用マスクでも代用できる。
  5. ゴム手袋…園芸用に、薄い透明ゴム手袋が市販されている。薬剤の希釈・散布時に装着し、薬液が皮膚に付かないようにする。台所用のゴム手袋でも代用できるが、厚手なので、細かい作業がしにくい。
  6. 防護メガネ(ゴーグル)…剪定や草刈りの際、目に異物が飛んでこないよう保護したり、薬剤散布時、霧状になった薬液が目に入らないようにする。普通のメガネとは違い、目の横にすき間ができない。花粉用メガネや水中メガネでも代用できる。