植物の害虫:ハマキムシ
※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。
この仲間は、ガの幼虫で多くを占め、一部、チョウの幼虫が混じる。
葉や花、つぼみ、果実などを糸でつづり合わせて巣を作り、その中で暮らしつつ食害を続けるのが特徴。種類によっては、葉を縁からくるくると巻くため、「ハマキムシ」と呼ばれる。年に複数回発生し、しかも多犯性(餌となる植物の範囲が広い)の種類が多い。
ほとんどの虫は無毒だが、リンゴハマキクロバのような毒虫もいるので注意する。
発生時期
3~11月(暖地では、冬も加害することがある。)
被害箇所
葉、芽、花弁、つぼみ、果実、果梗、豆サヤなど。
形態など
小さな巣の中で暮らす性質上、老熟幼虫で体長0.6~4cmとやや小さめ。体色は、種類によって、黄緑色、灰緑色、乳白色、灰褐色、赤褐色、淡褐色、暗紫色などさまざま。まばらな体毛を持つ種類もある。年1~7回の発生。
身の危険を感じると、見かけによらない素早さで逃げる。
主な被害
葉やつぼみ、果実などを糸でつづり合わせたり、葉の縁を巻いたり折り曲げたりして巣を作り、周囲の葉や果実などを食害する。
芽の先端部が被害にあうと、その部分の生長が止まる。時折、巣の中から這い出て引っ越す種類もある。
種類によっては、シンクイムシのように、植物体に孔を空けて食入することがある。
対策
見つけ次第捕殺するか、被害部分ごと虫を除去する。巣の中にいる虫は、1匹とは限らないので注意。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンD、アースガーデンW、アーデント、アクセル、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アファーム、アファームエクセラ、アプロードエース、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、エンバーMC、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードジェットBT、ガードワン、カウンター、カスケード、カダンA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、クオーク、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、ショットイン、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイアジノンSL、ダイポール、ダブルアタックAL、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、デルフィン、トアローCT、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バイオマックスDF、パイベニカ、バシレックス、ファルコン、ファイブスター、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、ロムダンなど。
【注意点】散布の際は、巣の中にまで、よく薬剤をしみこませる。同一薬剤の連続散布は避けた方がよい。
接触毒(スミチオン系やマラソンなど)よりも、食毒作用のある薬剤(カルホス、ディプテレックスなど)を使ったほうが確実。
予防策
無用な電照を行わない。多肥にしない。窒素肥料を控える。誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。
種類によっては、被害部分の中や樹皮のすき間、株元の土中で越冬するので、枯れ込んだ部分を冬に剪定し、粗皮を削り落とし、株の周りを軽く耕す。
【薬剤】可能なら、冬季に石灰硫黄合材かマシン油乳剤を散布。
種類によっては、合成フェロモン剤が開発されているが、家庭園芸では一般的でない。
主な被害植物
【草花・鉢花】アサガオ、アザミ、アスター、アメリカフヨウ、インパチエンス、エリカ、カランコエ、キキョウ、キク、グラジオラス、クレオメ、クレマチス、ケイトウ、シャジン類、タチアオイ、ドンベア、ハイビスカス、ヒユ、ヒルガオ、ヘチマ、ヘリオトロープ、ホリホック、モミジアオイ、ワタなど。
【観葉・多肉】アイビー、サクララン、ササ類、シダ類、シッサス、シバ類、ジュズダマ、シラスゲ、ススキ、タケ類、チガヤなど。
【樹木・果樹】アオギリ、アオハダ、アケビ、アセビ、アベマキ、アボカド、アンズ、イチイ、イチョウ、イボタノキ、イヌツゲ、イヌマキ、ウツギ、ウバメガシ、ウメ、ウメモドキ、ウワミズザクラ、エノキ、オウトウ、オガタマノキ、オリーブ、カイドウ、カエデ類、カキ、カシ類、カシワ、カナメモチ、カルミア、カンキツ類、キウイ、キリ、キンモクセイ、クサギ、クサツゲ、クスノキ、クヌギ、グミ類、クランベリー、クリ、クルミ、クロウメモドキ、クワ、ゲッケイジュ、ケヤキ、サカキ、サクラ、ザクロ、サザンカ、サツキ、サンゴジュ、サンショウ、シイ類、シモツケ、シャクナゲ、シャリンバイ、シラカバ、シロダモ、スギ類、スグリ類、ズミ、スモモ、セイヨウボダイジュ、センダン、タブノキ、チャ、ツガ、ツゲ、ツツジ類、ツバキ類、ドウダンツツジ、トウネズミモチ、ドイツトウヒ、トキワマンサク、トベラ、ナシ、ナツフジ、ナナカマド、ナラ類、ナンテン、ニレ類、ニワウルシ、ヌルデ、ネジキ、ネズミモチ、ネムノキ、ハギ、ハマボウ、バラ、ハンノキ、ヒイラギ、ヒイラギ、ヒサカキ、ヒマラヤシーダ、ピラカンサ、ビワ、フェイジョア、フジ、ブッドレア、ブドウ、フヨウ、プラタナス、ブルーベリー、ボケ、ボックスウッド、ポプラ、マキ類、マサキ、マツ類、ムクゲ、メタセコイア、モクセイ類、モクレン、モチノキ類、モッコク、モミ、モモ、ヤシャブシ、ヤチダモ、ヤナギ類、ヤマモモ、ユキヤナギ、ユスラウメ、ユズリハ、ライチ、ライラック、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】アーティチョーク、アシタバ、アカザ、イネ、ウド、ウリ類、エゴマ、エダマメ、エンサイ、オクラ、カボチャ、キュウリ、ゴボウ、コマツナ、サツマイモ、シソ、シュンギク、スイカ、セロリ、タイム、ダイコン、ダイズ、チョウセンニンジン、チンゲンサイ、テンサイ、ドクダミ、ナガイモ、ニガウリ、ニンジン、ハクサイ、バジル、バナナ類、ビーツ、ヒョウタン、フダンソウ、ブロッコリー、ホウレンソウ、マコモ、マメ類、マロウ、ミント類、ムギ類、メロン、ヤマノイモ、ヨモギ、ワタなど。
【ラン】ウチョウラン、オンシジウム、カトレアなど。