植物の害虫:ダニ
※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。
ダニは昆虫ではなく、クモに近い生物である。この仲間のうち、植物の汁を吸う種類が、 害虫として扱われる。植物を加害するダニは、人間などの動物を加害することはない。
多湿時に多発するものと、乾燥時に多発するものに分かれる。真冬を除き、ほぼ一年中いるが、被害が多いのは、やはり夏場である。被害症状がウイルス病に似ることが多く、間違えやすいので注意。
※一部、植物体に虫コブを発生させる種類もあり、「虫コブを作る害虫」として、別ページに分けてある。
発生時期
3~11月(屋内では周年発生。)
被害箇所
葉、芽、果実、つぼみ、花、茎、若枝、鱗茎、球根の発根部など。
形態など
体長0.1~0.5mm程度と小さく、肉眼ではほとんど見えない。体色は乳白色、淡黄色、黄褐色、黄緑色、赤褐色、赤橙色、青色など。半透明であることが多い。体形は、ダニらしく丸っこい種類と、細長い種類がある。脚の数は基本的に8本だが、4~6本のこともある。
主な被害
葉裏や花の中などに潜み、吸汁する。被害部分はかすり状の斑点ができたり、萎縮・変形・硬化したりする。被害部分がケロイド状になったり、薄汚れた感じになったり、シミが出ることもある。
多発すると、被害部分が早期に枯れ落ち、植物をひどく弱らせて枯死させることもある。また、種類によっては、ウイルス病を媒介する。
ネダニ類は球根植物の発根部を加害し、腐敗させるため、致命的である。
ハダニ類の一部には、集団で糸を吐いて、クモの巣状の巣を作る種類もある。
対策
【ネダニ以外の種類】見つけ次第、被害部分を除去する。可能なら、茎葉に水をかけてダニを洗い流す。
【薬剤】【散布】アーデント、アーリーセーフ、アカリタッチ、アクテリック、アタックワンAL、アファーム、あめんこ、イオウ、エアータック、園芸用キンチョールE、エンセダン、オサダン、オマイト、カーラ、カスケード、カダンA、カダンセーフ、カネマイト、クムラス、コロナ、コロマイト、サルファー、サンクリスタル、スケルサイドA、スターマイト、スピノエース、スミチオン、スミナイス、タイタロン、ダニカット、ダニゲッター、ダニサラバ、ダニ太郎、ダニトロン、ダニボーイ、ダブルアタックAL、テデオン、テトラマイト、テルスター、トモノールS、ニッソラン、ネマトリン、粘着くん、パイベニカ、ハッパ、パノコン、バロック、ベニカX、ベニカグリーンV、ベニカマイルド、ペンタック、マイトクリーン、マイトコーネ、マラソン、ムシラップ、ユニフローサルファーなど。
【注意点】薬剤に対し耐性が付きやすいため、同じ薬剤の連続散布は避ける。
薬剤は、汎用の殺虫剤よりも、専用の「殺ダニ剤」のほうが効きやすい。が、例外的に、コナダニ類には普通の害虫用殺虫剤、サビダニ類には殺菌剤(イオウ、エムダイファー、グリーンダイセンM、グリーンペンコゼブ、サルファー、ジマンダイセン、ビスダイセン、ペンコゼブ、ユニフローサルファーなど)も効果がある。
【ネダニ】見つけ次第、被害株を処分する。
【薬剤】【土壌灌注・混和】アクテリック、オルトラン、スミチオン、トクチオン、ネマトリン、ネマトリンエース、ボルテージなど。
予防策
過湿・過乾燥を避ける。通風を改善する。未熟な有機物を使用しない。周囲の雑草を取り除く。被害株から子株や子球を取らない。連作を避ける。土壌酸度が酸性に偏らないようにする。
主な被害植物
非常に多い。下記は一例。
【草花・鉢花】アサガオ、アザレア、アブチロン、アマリリス、アヤメ、アリウム、インパチエンス、ウチョウラン、エビネ、エンジェルストランペット、オキナグサ、オダマキ、カーネーション、ガーベラ、カラマツソウ、キキョウ、キク、球根アイリス、キンギョソウ、グラジオラス、クレマチス、グロキシニア、クロッカス、コスモス、サクラソウ、サボテン類、サルビア類、シクラメン、シャジン類、スイセン、スミレ、ゼラニウム、セントポーリア、ダリア、チューリップ、デュランタ、デルフィニウム、トケイソウ、トルコキキョウ、ナスタチウム、ナデシコ類、ノボタン、ハナショウブ、パンジー、ヒマワリ、ヒャクニチソウ、フジバカマ、フクシア、フクジュソウ、フジバカマ、フリージア、プリムラ類、フユサンゴ、ベゴニア類、ペチュニア、ヘリコニア、ホウセンカ、ホオズキ、マトリカリア、マリーゴールド、ミヤコワスレ、メランポジウム、ユキワリソウ、ユリ、ランタナ、リンドウ、ルエリア、ワタなど。
【観葉・多肉】アイビー、アカリファ、アグラオネマ、アスパラガス、アスプレニウム、アナナス類、アフェランドラ、アロカシア、アンスリウム、カラジウム、カラテア、クロトン、ゴムノキ類、コルディリネ、コルムネア、ササ類、サボテン類、シェフレラ、シダ類、シッサス、シバ類、シュロチク、シンゴニウム、ゼブリナ、タケ類、ディフェンバキア、ドラセナ類、パキラ、ピレア、ブレクナム、ベンジャミン、ポトス、ヤシ類、ユッカなど。
【樹木・果樹】アオキ、アケビ、アセビ、アジサイ、イチジク、イヌツゲ、イヌマキ、イブキ類、イボタノキ、エクスバリーツツジ類、オウトウ、カキ、カシ類、カシワ、カルミア、カンキツ類、キウイ、キョウチクトウ、キンモクセイ、ギンモクセイ、クランベリー、クリ、クルミ、クワ、コトネアスター、サザンカ、サツキ、サンゴジュ、サンシュユ、サンショウ、シャクナゲ、スギ類、スグリ類、スターフルーツ、ストロベリーグァバ、スモモ、チャ、ツガ、ツツジ類、ツバキ類、ドイツトウヒ、ドウダンツツジ、トウヒ、ナシ、ナラ類、パイナップル、ハコネウツギ、ハスカップ、パパイヤ、バラ、ヒイラギモクセイ、ヒノキ、ビャクシン類、ブドウ、マサキ、マツ類、マンゴー、モクセイ類、モッコク、モミ、モモ、ヤツデ、ヤマブキ、ライチ、ライラック、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】アシタバ、アニスヒソップ、イチゴ、イネ、インゲン、ウリ類、エダマメ、エンドウ、オクラ、カボチャ、キャベツ、キュウリ、コムギ、ササゲ、サツマイモ、サトイモ、サトウキビ、サフラン、シシトウ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、スイカ、セージ、セロリ、ダイコン、ダイズ、タマネギ、チャイブ、チンゲンサイ、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンニク、ネギ類、ハクサイ、バジル、バナナ、ハヤトウリ、ピーマン、フダンソウ、ペピーノ、ホウレンソウ、マメ類、マロウ、ミツバ、メロン、モロヘイヤ、ヤマイモ、ラッカセイ、ラッキョウ、レタス類など。
【ラン】エビネ、シンビジウム、オンシジウム、カタセタム、カランセ、シュンラン、シンビジウム、デンドロビウム、デンファレ、ネオムーレアナ、バニラ、バンダ、ファレノプシス、ミルトニア、リカステなど。