植物の害虫:エカキムシ(潜葉性害虫)
※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。
この仲間は、ごく小型の、ガの幼虫が多くを占める。一部、ハエや甲虫類の幼虫も含まれる。
体の小ささを生かし、葉の組織内に侵入して葉肉を食い荒らしたり、吸汁したりするのが特徴。虫体も被害部分も小さいため、よく観察しないと発生に気付きにくい。
「エカキムシ」の呼び名は、植物の組織内で虫の移動した跡が、白っぽい線のように見えることから来ている。ただし、どの種類も葉に線を描くわけではない。
ハマオモトヨトウのように、葉の中に潜むには大きすぎる種類もある。が、この虫は、葉肉に潜る以外に、茎に食入することも多いため、「シンクイムシ」の仲間に入れてある。
発生時期
4~11月(6~9月に多い。)
被害箇所
葉、花、つぼみ、若い茎など。
形態など
老熟幼虫で体長2~7mm程度。体色は、乳白色、黄褐色、淡緑色、赤褐色など。狭い場所で暮らす特性上、全体的に丸っこい、あるいは、扁平な体形が多い。成熟すると葉の外に出てサナギになる。
ガやハエの場合、年4~6回と、発生回数が多い傾向がある。
ハエと甲虫類の幼虫は脚が無い。
主な被害
葉肉などの内部に侵入し、トンネル状に食害する。被害部分は、表面に、白い線模様(虫の移動した跡)ができたり、白い斑点だらけになったり、袋状の空洞ができたりする。被害がひどいと変形し、生長が止まったり、早期に枯れ落ちたりする。
イブキチビキバガのように、被害葉に空洞を作らず、枯れ込ませるだけの虫もいる。
種類によっては、時折葉の外に出て、葉肉の表面も食害したり、別の葉に引っ越したりする。
対策
見つけ次第、中にいる虫を潰すか、被害部分ごと虫を除去する。葉の外に出た虫は捕殺する。
被害部分を除去した場合は、必ずその場で処分する。しおれた程度なら、幼虫は十分生育できるため、そのまま放っておくと、新たな発生源となる。
また、すでに枯れ落ちた被害部分があれば、虫が残っている可能性があるので処分する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクタラ、アディオン、アドマイヤー1、アファーム、アファームエクセラ、アルバリン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、カウンター、カスケード、サムコル、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダントツ、ディアナSC、ディプテレックス、デミリン、テルスター、トクチオン、トレボン、ノーモルト、ベストガード、ベニカ、ベニカD、マッチ、マラソン、モスピラン、リーズンなど。
【注意点】虫が葉の内部にいるため、薬剤の効果が薄い。また、マメハモグリバエのように、薬剤に強い耐性を持つ種類も存在する。
予防策
周辺の雑草を除去する。通風を改善する。天敵が多いので、それらを殺すような強い殺虫剤を使わない。株全体を寒冷紗などで覆い、成虫の飛来を防ぐ。
種類によっては落ち葉の中や樹皮の隙間で越冬するので、落ち葉を掃除し、粗皮を削り落とす。
主な被害植物
【草花・鉢花】アサガオ、アスター、アヤメ、エビネ、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、カンラン、キク、キンギョソウ、キンセンカ、クリサンセマム、ケイトウ、サクラソウ、サルビア、シネラリア、宿根アスター、宿根カスミソウ、スイートピー、セラスチウム、ダリア、デージー、トルコキキョウ、ナスタチウム、ナデシコ類、ハナショウブ、ヒマワリ、ヒョウタン、ヒルガオ、プリムラ、フロックス、ペチュニア、ベニバナ、ホオズキ、マーガレット、マリーゴールド、メランポジウム、ラナンキュラス、ルドベキアなど。
【樹木・果樹】アオギリ、イブキ類、イボタノキ、ウリノキ、エゴノキ、カイドウ、カキ、カシ類、カシワ、カンキツ類、クスノキ、クチナシ、クヌギ、クリ、ケヤキ、サクラ、サザンカ、シオジ、ズミ、ソヨゴ、チャ、ツバキ類、トベラ、ナシ、ナラ類、ニシキギ、ネズミモチ、ヒイラギ、ヒイラギモクセイ、ビャクシン類、フジ、フヨウ、マサキ、モクセイ類、モモ、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】インゲン、ウリ類、エダマメ、エンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カモミール、キャベツ、キュウリ、クレソン、ゴボウ、コマツナ、サツマイモ、サラダナ、シシトウ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、食用ホオズキ、スイートマジョラム、スイカ、セロリ、ソラマメ、ターサイ、ダイコン、ダイズ、タンジー、チンゲンサイ、トウガラシ、トウガン、トマト、ナス、ニガウリ、ニンジン、ネギ類、ハクサイ、ハコベ、パセリ、ビーツ、ピーマン、フェンネル、ブロッコリー、ホウレンソウ、ミント類、メロン、レタス類など。
【ラン】ウチョウラン、エビネ、カンラン、シュンラン、シンビジウム、リカステなど。