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素人園芸解説 -私はこう育てる-

植物の害虫:その他の吸汁する虫

※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。

植物の汁を吸う虫といえば、アブラムシとカイガラムシが、二大巨頭ともいうべき存在感を放つ。その他には、ダニやセンチュウなどが挙げられる。しかし、吸汁する虫はそれ以外にもいくつかあるので、このページでまとめて扱うことにする。

夏に鳴くセミも植物の汁を吸うが、普通は害虫扱いしない。が、ここで取り上げる虫の中には、コナジラミ、ウンカ、ヨコバイといった、ごく小さいセミのような姿をした種類がある。
それ以外の種類では、アザミウマ(スリップス)、グンバイムシ、カメムシなどがよく知られる。
どの種類も長い口吻を持ち、それを植物に突き刺して吸汁する。なお、体の大きい種類は、危険を感じた時に、これで人を刺すことがあるので、見つけてもむやみに触らない方が無難。

なお、例外的に、「吸蛾類」のエグリバも、この仲間に入れた。これは大型のガの一種で、上記の吸汁害虫とは全く異なるが、果実の汁を吸う虫なので、いちおう吸汁害虫といえる。

発生時期

3~11月(温暖地や加温環境下では、冬も発生が続くことがある。)

被害箇所

新梢、茎、葉裏、花、つぼみ、果実など。

形態

成虫で体長0.8~6mm。大型のものは1~1.6cm程度。体色は、淡黄色や淡褐色、淡青緑色、黒褐色、赤褐色、灰褐色など。翅を持つものが多い。多くの種類は不完全変態である。
成虫・幼虫ともに吸汁する種類が多いが、不完全変態のため、幼虫の姿も、成虫と似ていることが多い。とはいえ、翅が無かったり、体色が異なる、などの違いはある。

アワフキの幼虫のように、泡を出して全身を覆い隠す、奇妙な種類もある。また、キジラミやコナジラミの幼虫は、成虫と姿がかなり異なる。

また、吸蛾類であるエグリバの成虫は、翅を開くと10cmくらいもある、かなり大きなガである。

主な被害

茎葉や花、つぼみ、果実などに寄生し、吸汁する。葉の場合は裏側、花やつぼみの場合は、外から見えにくい奥まった場所にいることが多い。
被害部分には、かすり状に色が抜ける、黒っぽく変色する、萎縮・変形する、コルク状になって硬くなる、ケロイド状に引きつれる、などの症状が現れる。排泄物で、すす病を誘発することもある。
果実が被害を受けると落果することが多い。(特に幼果。)

また、種類によっては、ウイルス病や植物病原微生物ファイトプラズマを媒介し、大打撃を与える。

エグリバは、夜間のみ飛来し、果実を加害する。体の大きいガだけに、被害果はダメになることが多い。

対策

見つけ次第、虫ごと被害部分を除去するか、可能ならブラシなどでこすり落とす。大きな虫なら捕殺する。


【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンC、アースガーデンD、アースガーデンW、アーデント、アーリーセーフ、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アドマイヤー1、アファーム、アファームエクセラ、アプロード、アプロードエース、アルバリン、アントム、ウララDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードベイトA、ガードワン、カウンター、カスケード、カダンA、カダンAP、カダンD、カダンV2、カメムシダウンAL、カルホス、キックバールAL、ケムシカダンA、コルト、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、サンクリスタル、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、除虫菊、スーパーカメムシジェット、スケルサイドA、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダイアジノン、ダブルアタックAL、ダントツ、チェス、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バイスロイド、パイベニカ、パダン、ピレオール、ファルコン、フェニックス、ブルースカイAL、プレオ、プレバソン、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、ベニカマイルド、マッチ、マトリック、マラソン、ムシキントール、モスピラン、モスピランワン、リーズン、ルーバン、レターデン、レルダン、ロムダンなど。

アザミウマ、グンバイムシ、コナジラミなど、ごく小さい虫に対しては、あめんこ、エコピタ、オレート、粘着くん、マイトクリーン、ムシラップなども効果がある。

【注意点】種類によっては薬剤に強い抵抗性を持つため、一度散布して効果がなかった薬は使用をやめ、別の薬剤に切り替える。
同一薬剤の連続散布は避ける。

予防策

周囲の雑草(特に、イネ科とキク科の雑草)を除去する。通風を改善する。ときどき葉に水をかけて洗い流す。空中湿度を高めに保つ。果実に袋かけをする。
キク科植物に誘引される種類が多いので、栽培しない。植物を購入する際は、すでに虫がいないか、よく観察する。天敵が多いので、それらを殺すような強い殺虫剤を使わない。
種類によっては、樹皮の隙間で越冬するので、粗皮を削り落とす。黄色・青色・白色・桃色などの粘着トラップを吊るす。
光の反射率の高いものを忌避するため、白~銀色ポリフィルムなどでマルチングをしたり、テープを張り巡らす。


【薬剤】可能なら、冬季に、石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布。

主な被害植物

【草花・鉢花】アサガオ、アザミ、アザレア、アスター、アルストロメリア、インパチエンス、エノコログサ、エボルブルス、エミリア、エンジェルストランペット、カーネーション、ガーベラ、ガザニア、カラー、カラスウリ、カランコエ、キク、球根ベゴニア、キンセンカ、クフェア、グラジオラス、クレオメ、グレコマ、クレマチス、クローバー類、ケイトウ、コエビソウ、コスモス、サクラソウ、サルビア類、シオン、シクラメン、シオン、ジニア、宿根アスター、スイートピー、スクテラリア、スターチス、ストック、セラスチウム、ゼラニウム、セントポーリア、ソリダゴ類、タチアオイ、タツナミソウ、ダリア、チドリソウ、デュランタ、ドクダミ、トルコキキョウ、ナデシコ類、ニチニチソウ、ノコンギク、バーベナ、ハイビスカス、ハナショウブ、ハマユウ、バラ、ヒアシンス、ヒナゲシ、ヒマワリ、ヒャクニチソウ、ヒョウタン、ヒルガオ、フォックスフェイス、フクシア、プリムラ類、ヘーベ、ベゴニア類、ヘチマ、ペチュニア、ヘビイチゴ、ヘメロカリス、ペラルゴニウム、ベロニカ、ポインセチア、ホオズキ、ユリ、ヨメナ、マリーゴールド、ミヤコワスレ、ミヤコワスレ、ユリオプスデージー、ランタナ、リンドウ、ルドベキア、レンゲなど。

【観葉・多肉】アイビー、アジアンタム、イタビカズラ、ガジュマル、カラジウム、ゲッキツ、ゴムノキ、ヤシ類など。

【樹木・果樹】アオキ、アカシア、アカメガシワ、アケビ、アジサイ、アセビ、アベマキ、アベリア、アボカド、イスノキ、イチジク、イチョウ、イヌツゲ、イヌマキ、イボタノキ、ウツギ、ウメ、エゴノキ、エノキ、エビヅル、オウトウ、オオデマリ、カイドウ、カエデ類、カキ、カシ類、カナメモチ、カラタチ、カリン、カルミア、カンキツ類、キウイ、キハダ、キブシ、キョウチクトウ、キリ、クサギ類、クスノキ、クチナシ、グミ類、クヌギ、クリ、クワ、ゲッケイジュ、コデマリ、コブシ、コムラサキ、サカキ、サクラ、ザクロ、サザンカ、サツキ、サルスベリ、サルナシ、サンゴジュ、サンショウ、シイ類、シキミ、シャクナゲ、シャシャンボ、シャリンバイ、食用ホオズキ、シロダモ、スギ類、スターフルーツ、スモモ、センダン、タブノキ、タラノキ、チャ、ツゲ、ツツジ類、ツバキ類、ドウダンツツジ、トチノキ、トベラ、ナシ、ナツツバキ、ナラ類、ナンキンハゼ、ナンテン、ニレ類、ネクタリン、ネジキ、ネズミモチ、ネムノキ、ノブドウ、ハギ、ハゼノキ、バラ、ヒイラギ、ヒサカキ、ヒノキ、ヒメリンゴ、ピラカンサ、ビワ、フェイジョア、フジ、ブドウ、フヨウ、ブルーベリー、ボケ、マサキ、マタタビ、マツ類、マンゴー、ムクゲ、ムベ、ムラサキシキブ、モクセイ類、モクレン、モチノキ類、モッコク、モモ、ヤツデ、ヤナギ類、ヤブニッケイ、ヤマブキ、ヤマモガシ、ヤマモモ、ユキヤナギ、ライラック、リンゴ、レンギョウなど。

【ハーブ・野菜】アズキ、アスパラガス、アブラナ、アルファルファ、イチゴ、イネ、インゲン、ウリ類、エダマメ、エンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カラシナ、カラスウリ、カリフラワー、キクイモ、キハダ、キャベツ、キュウリ、クズ、クローバー、ゴボウ、ゴマ、コマツナ、ササゲ、サツマイモ、サトイモ、シシトウ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、ショウブ、食用ホオズキ、シロウリ、シロザ、スイカ、ズッキーニ、スベリヒユ、セージ、セリ、セロリ、ソバ、ソラマメ、ソレル、ダイコン、ダイズ、タデ類、タバコ、タマネギ、タンポポ、チャイブ、チョロギ、チンゲンサイ、トウガラシ、トウガン、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ類、ハクサイ、ハコベ、パセリ、ハハコグサ(ゴギョウ)、ハヤトウリ、ピーマン、ヒエ、ピスタチオ、フェンネル、ブロッコリー、ペピーノ、ホウレンソウ、マクワウリ、メロン、ヤーコン、ヤマノイモ、ヨモギ、ラッカセイ、ラッキョウ、レタス類、レモンバーベナ、レモンバーム、ワケギ、ワサビ、ワタなど。

【ラン】カタセタム、カトレア類、サギソウ、デンドロビウム、デンファレ、バンダ、ミルトニア、レリアなど。

主な種類

アザミウマ(スリップス)類アワフキ類ウンカ類エグリバ類(成虫)カメムシ類・カスミカメ(メクラガメ)類キジラミ類グンバイムシ類コナジラミ類ハゴロモ類ヨコバイ類