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素人園芸解説 -私はこう育てる-

植物の害虫:その他の虫

※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。

植物の茎葉や幹、根などを食害する害虫は、やはりイモムシ・ケムシ類が代表格であろう。
それ以外にも、ウリハムシモドキ、オンブバッタ、ケラ、タネバエ類、ナメクジ、コガネムシ、ゾウムシ類、テントウムシダマシ、ハムシ類など、植物を食害する害虫はたくさんいる。ここでは、それらを主に扱っている。
なお、中には、コオロギ、ダンゴムシ、ヤスデなど、大して害の無い虫も混じっている。これらは、普段は害虫ではないが、他に良い餌が無いと植物を食害するので、いちおう取り上げた。

アリもここで扱っているが、実際は、アリが植物を食害することはほとんど無い。アリは、アブラムシやカイガラムシの保護者としての役割の方がよほど大問題である。
また、ケシキスイやハナムグリも、植物を食害することは無い虫だが、花粉や蜜を目当てに花を訪れ、ついでに子房を傷つける等して結実を妨害したり、果実を傷つけたりするので、ここで扱った。

収録した害虫以外にも、ガガンボの幼虫やトビムシモドキなどが根を食害する。また、ゴキブリ、トビムシ、ハサミムシなども、たまに、幼苗や果実を食害することがある。これらも害虫といえば害虫だが、キリが無いので、ここでは取り上げていない。

発生時期

周年。(冬は活動が鈍る。)

被害箇所

新梢、茎、葉、花、芽、果実、豆サヤ、球根、根、タネ、幼苗など。

形態

【コガネムシ・ゾウムシ類・ハムシ類など甲虫類の形態】成虫は体長2~25mm程度。ケシキスイのようなケシ粒のような虫から、コガネムシのように大きな虫まで、いろいろいる。体色は灰褐色、黒褐色、黄褐色、茶褐色、赤褐色、黄褐色、濃緑色、青色など。種類によって、体表に光沢があるものと無いものがある。体型は、丸っこいものから、細長いものまでさまざま。
コガネムシは夜行性が多いが、それ以外の種類は昼間に活動する。
テントウムシダマシ類は、名前の通り、テントウムシに似ている。(というより、テントウムシの一種である。)

幼虫は、体長3~40mm。成虫より体が大きいことが多い。体色は乳白色~黄色、褐色、黄緑色、黒色など。
コガネムシ類やハムシ類は胸部に6本の脚を持つが、ゾウムシの幼虫には脚が無い。
テントウムシダマシ類の幼虫は、全身に毒々しい黒いトゲがあるが、毒虫ではない。


【オンブバッタ・コオロギ・ハエ類・ハチ類などその他の昆虫の形態】成虫で体長15~50mm。アリ類は体長1.5~4.5mm程度。体色は、黒褐色、茶褐色、赤褐色、淡緑色、淡褐色など。
バッタやコオロギの仲間は後脚が大きく発達し、強い跳躍力を持つ。また、ケラは前脚がモグラの手のような形になっており、土を掘るのに適する。
ハキリバチ類は腹部に針を持ち、刺して来ることがあるので注意。

キノコバエやタネバエの幼虫は、体長2~5mm程度のウジムシ。


【カタツムリ・ダンゴムシ・ナメクジ類・ヤスデなど昆虫以外の形態】成体で体長12~80mm。カタツムリは貝殻幅15~20mm。体色は、淡褐色、黒褐色、灰褐色、赤褐色など。
カタツムリの貝殻や、ナメクジ類の背面には、縞模様が入る。
ヤスデは縞々模様のムカデのような姿だが、人を咬むことは無い。

主な被害

【昆虫・その他共通】成虫・幼虫ともに、葉や芽、花、つぼみ、果実などを食害する。若い組織を好み、硬い葉脈は食べずに残すことが多い。
コガネムシやゾウムシは、幼虫も根を加害する。キノコバエやタネバエの幼虫は、まかれたタネまで加害し、腐らせる。
オトシブミやチョッキリのように、葉を巻いて産卵し、ゆりかごを作る種類もある。
ケシキスイやハナムグリは、花の中にもぐって蜜を吸う際に子房を傷付け、結実を妨げたり、果実の表面に傷跡を残す。
カタツムリやナメクジ類は、這った後に粘液が残るため、加害者として特定しやすい。
ハキリバチ類は、葉や花を丸く切り取って持ち去り、巣の材料にする。

対策

【コガネムシ・ゾウムシ類・ハムシ類など甲虫類の対策】成虫・幼虫ともに、見つけ次第捕殺する。虫の種類によって、昼間に活動するものと夜に活動するものがあるので、よく調べる。


【薬剤】【散布・土壌灌注・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アドマイヤー1、アプロード、アルバリン、アントム、エンセダン、エンバーMC、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランMP、オルトランS、オンコル、ガーデンアースB、ガードベイトA、カウンター、カスケード、カダンAP、カダンD、カルホス、グランドオンコル、サイアノックス、サニーフィールド、スケルサイドA、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スタークル、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダイアジノンSL、ダントツ、ディプテレックス、テルスター、トクチオン、トレボン、ノーモルト、パイベニカ、パーマチオン、ピレオール、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカX、マッチ、マラソン、マルチガード、モスピランなど。

土中で加害する種類の場合、オルトランDX、ショットイン、ダーズバン、ダイアジノン、デミリン、ネキリトン、ブイハンター、ホームガーデン、ボルテージ、ラグビーMCなども有効。

【注意点】老熟幼虫には薬剤の効果が劣るため、なるべく発生初期に使いたい。同一薬剤の連続使用は避ける。


【オンブバッタ・コオロギ・ハエ類・ハチ類などその他の昆虫の対策】見つけ次第捕殺する。コオロギは夜行性なので、夜に見回る。
なお、アリやタネバエ類、ハキリバチなどの捕殺は無理がある。


【薬剤】【散布】カルモック、グリーンベイト、ダイアジノン、デナポン、ネキリトン、ネキリトンK、ムカデカダン、ムシトールなど。

アリ類に対しては、アリアース、アリアトール、アリアトール、アリカダン、アンツハンターなどが有効。


【カタツムリ・ダンゴムシ・ナメクジ類・ヤスデなど昆虫以外の対策】見つけ次第捕殺する。いずれも夜行性なので、夜に見回るとよいが、昼間なら、石や鉢の下など、湿り気のある場所に潜んでいるので探す。


【薬剤】【散布】グリーンベイト、サンヨールAL、ダイアジノン、ダンゴムシアース、ダンゴムシカダン、デナポン、ワラジキールなど。

カタツムリ・ナメクジ類に対しては、ナメキール、ナメクジカダン、ナメクジ駆除剤、ナメクリーン、ナメダウン、ナメトックス、ナメトリン、マイマイペレットなどが有効。ただし、コウラナメクジ以外には効果が劣る。

予防策

周囲の雑草を除去する。土に未熟な有機物を混ぜない。完熟有機物でも、多量に入れない。雨に当てない。果実がある程度肥大したら、袋かけをする。
株とその周囲を清潔に保つ。鉢を地面に直接置かない。可能なら、株全体を不織布などで覆う。過湿を避ける。石などの隠れ場所を撤去する。天敵であるカマキリやクモ、コウガイビルなどを大切にする。
コガネムシ類など夜行性の虫は、誘殺灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。
落ち葉や土の中で越冬する種類が多いので、冬に周囲をよく掃除し、土を軽く耕しておく。

主な被害植物

【草花・鉢花】アイリス類、アサガオ、アザミ、アスター、アネモネ、アヤメ、イチリンソウ、インパチエンス、ウチョウラン、エビネ、エンジェルストランペット、オキザリス、オキナグサ、オモダカ、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、カラスウリ、キキョウ、キク、ギボウシ、キンギョソウ、キンセンカ、クジャクサボテン、クモマグサ、グラジオラス、クレマチス、クローバー、グロキシニア、ケイトウ、コスモス、サクラソウ、サルビア類、シクラメン、ジニア、スイートピー、スイレン、ストック、スミレ類、ゼラニウム、ダリア、ダンギク、デージー、ナスタチウム、ナデシコ類、ハナショウブ、ハナタバコ、パンジー、ビオラ、ヒマワリ、ヒャクニチソウ、ヒルガオ、フォックスフェイス、フクジュソウ、フジバカマ、プリムラ類、プルンバゴ、ベゴニア類、ペチュニア、ヘリオトロープ、ホオズキ、ホトトギス、ポリゴナム、マーガレット、マリーゴールド、ヤブラン、ユリ、ランタナ、リンドウ、ルピナス、レンゲなど。

【観葉・多肉】アイビー、アジアンタム、アスプレニウム、アロエ類、アンスリウム、花月、コリウス、コルディリネ、サボテン類、シダ類、シバ類、ジャノヒゲ、ストレリチア、ノシラン、フィットニア、ヤシ類など。

【樹木・果樹】アカシア、アジサイ、アベマキ、アンズ、イチジク、イヌツゲ、イヌマキ、イブキ類、ウメ、エニシダ、エノキ、エビヅル、オウトウ、カイドウ、カエデ類、カキ、カシ類、カシワ、カツラ、カナメモチ、ガマズミ、カンキツ類、キイチゴ類、キウイ、キャラボク、キョウチクトウ、クスノキ、クヌギ、クリ、クルミ、ケヤキ、サクラ、ザクロ、サザンカ、サツキ、サルスベリ、サルナシ、サンゴジュ、サンショウ、シデ類、シナノキ、シャクナゲ、シラカバ、スギ類、スグリ類、スモモ、チェリモヤ、ツツジ類、ツバキ、トチノキ、ドロノキ、ナラ類、ニセアカシア、ニレ類、ブドウ、ナシ、ナツヅタ、ナラ類、ニセアカシア、ニレ類、ニワトコ、ノブドウ、ハギ、ハナミズキ、バラ、ハンノキ、ヒイラギ、ヒノキ、ヒバ類、ヒメリンゴ、ビャクシン類、フジ、ブドウ、ブナ、フヨウ、プラタナス、ブルーベリー、プルーン、ボタン、ポプラ、マツ類、マンサク、ミズキ類、モクレン類、モチノキ類、モモ、ヤナギ類、リンゴなど。

【ハーブ・野菜】アーティチョーク、アシタバ、アズキ、アスパラガス、アマチャヅル、アルファルファ、イタドリ、イチゴ、イネ、インゲン、ウリ類、エゴマ、エダマメ、エンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カリフラワー、キャベツ、キュウリ、金時草、クズ、クレソン、ゴボウ、コマツナ、ササゲ、サツマイモ、サトイモ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、シロナ、スイカ、スイバ、ズッキーニ、セージ、セロリ、ソラマメ、ソレル、ダイコン、ダイズ、タデ類、タマネギ、タラゴン、タンポポ、チンゲンサイ、ツケナ類、テンサイ、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンジン、ネギ類、ハクサイ、バジル、パセリ、花菜、ピーマン、ヒノナ、フキ、フダンソウ、ブロッコリー、ホウレンソウ、マメ類、ミズナ、ミツバ、ミント類、ムギ、芽キャベツ、メロン、モロヘイヤ、ヤマイモ、ヨモギ、ラッカセイ、ラッキョウ、ラディッシュ、レタス、レモングラス、ロケットなど。

【ラン】エピデンドラム、エビネ、オンシジウム、カトレア、シンビジウム、セロジネ、ツニア、デンドロビウム、パフィオペディラム、バルボフィラム、バンダ、ファレノプシス、ペスカトレア、ミルトニア、リカステなど。

主な種類

アリ類ウリハムシモドキオトシブミ類・ハマキチョッキリ類オンブバッタカタツムリ類・ナメクジ類キノコバエ類・タネバエ類ケシキスイケラコオロギ類コガネムシ類・ハナムグリ類ゾウムシ類(外部から食害する種類)ダンゴムシ(オカダンゴムシ)・ワラジムシテントウムシダマシ類ハキリバチ類ハムシ類ヤスデ類