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素人園芸解説 -私はこう育てる-

植物の害虫:シンクイムシ

※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。

シンクイムシとは、植物の、比較的若い組織(若枝、茎、つぼみ、果実、根など)の内部に侵入して食い荒らす害虫の総称である。多くはガの幼虫だが、ハエやハチ、甲虫類の中にも存在する。
なお、シンクイムシが植物組織の内部に食い入ることを「食入」といい、その際にできた小さな穴を「食入孔」という。
虫が植物体の奥深くに潜り込むため、薬剤による防除が難しい。

シンクイムシの種類によっては、食入された部分が膨らみ、虫コブ状となる。が、明確なコブではないため、「虫コブを作る虫」の仲間には入れなかった。

発生時期

3~11月

被害箇所

果実、果梗、豆サヤ、新梢、茎、葉、葉柄、葉鞘、苞、芽、花、つぼみ、穂、バルブ、根、球根、地下のイモ、タネ、幼苗など。

形態など

【ゾウムシ、ハムシ、コメツキムシなど甲虫類の形態】種類によるが、成虫は体長2~25mmと小さめ。体色は、黒褐色、赤褐色、橙黄色、淡褐色、乳白色、紫褐色などさまざま。
幼虫は、終齢で3~25mmくらい。体色は、乳白色や黄緑色など。体形は丸っこい。
ほとんどの幼虫の体は柔らかいが、コメツキムシのみ硬い。


【ガ、アブ、ハエ、ハチなどの形態】老熟幼虫で2~25mm程度。ただし、タバコガやヨトウムシなどヤガ科のガの幼虫は、20~40mm程度と、結構大きい。
体色は、黄緑色や淡黄色、乳白色、赤褐色、黒褐色などさまざま。年1~6回の発生。
ヤガ科のガの幼虫は、体に複雑な模様があり、まばらな体毛を持つ。

主な被害

【甲虫類・ガ、アブ、ハエ、ハチなど共通】成虫・幼虫ともに、新梢、葉、芽、果実、地下のイモ、球根など、生育旺盛な組織を好み、かじって食害したり、内部に食入して食い荒らす。(一部の種類は、最初はエカキムシのように葉肉内を食い荒らし、その後、シンクイムシとなる。)
食入孔からは、黄褐色~黒褐色の糞や、ヤニが出る。被害部分は枯れたり腐ったりする。果実が被害を受けると、収穫が皆無になることもある。
種類によっては、虫が、加害する部位・植物を次々に変え、被害が拡大する。
植物の一部だけを枯らす種類が多いが、ウリハムシの幼虫のように、株全体を高確率で枯死させる、タチの悪いものもある。

なお、茎に食入した場合は、虫のいる部分だけがふくらみ、虫コブ状になることがある。また、一カ所に食入している幼虫は一匹とは限らず、複数いる場合もある。

対策

【甲虫類・ガ、アブ、ハエ、ハチなど共通】成虫は、見つけ次第捕殺する。甲虫類の場合、種類によっては、木を揺すると落ちてくるので、素早く集めて捕殺する。
幼虫の場合は、被害部分ごと虫を除去する。すでに枯れ落ちたものも、虫が残っていることがあるので処分する。可能なら、虫のいる部分を指で押さえて圧死させてもよい。


【薬剤】【散布・土壌灌注・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクセル、アクタラ、アクテリック、アタブロン、アディオン、アップデート、アドマイヤー1、アファーム、アファームエクセラ、アプロード、アルバリン、アントム、ウララDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、エンバーMC、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガードベイトA、カウンター、カスケード、カダンAP、カダンD、カルホス、カルモック、グランドオンコル、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、ジェイエース、ジェネレート、ショットイン、スターガード、スタークル、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダイアジノンSL、ダントツ、ディアナSC、ディプテレックス、デミリン、テルスター、トクチオン、トリガード、トルネード、トレボン、ノーモルト、パーマチオン、パイベニカ、ピレオール、ファルコン、フェニックス、プレオ、プレバソン、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカX、マッチ、マトリック、マラソン、マルチガード、ムシキントール、モスピラン、リーズン、レターデン、ロムダンなど。

土中で加害する種類の場合、スケルサイドA、ダーズバン、ダイアジノン、ダイアジノンSL、ネキリトン、ブイハンター、ホームガーデン、ボルテージ、ラグビーMCなども有効。

【注意点】虫は植物体の内部にいるため、薬剤の効果が薄い。まだ食入していない若齢幼虫を狙うか、成虫の忌避効果を狙う。

予防策

果実が肥大してきたら、袋かけをする。収穫適期を迎えた果実は、放置せずに収穫する。周囲の雑草を除去する。窒素肥料を控える。連作を避ける。水やりを適切に行い、土の乾燥・過湿を避ける。
未熟な堆肥・腐葉土や、有機質肥料の使用を控える。株全体を寒冷紗などで覆い、成虫の飛来・産卵を防ぐ。無用な電照を行わない。
種類によっては、銀色に光るものを忌避するので、銀色ポリフィルムなどでマルチングする。ガの仲間の場合、誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。
枯れた被害部分の中で越冬する種類もあるので、掃除・剪定する。樹皮の隙間や枝の分岐部などで越冬する種類も多いため、粗皮をきれいに削り落としておく。また、土中で越冬する種類は、周囲の土を軽く耕して掘り起こし、駆除する。

主な被害植物

【草花・鉢花】アゲラタム、アザミ、アスター、アマリリス、アヤメ、アリウム、エンジェルストランペット、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、カラスウリ、キキョウ、キク、球根アイリス、キンギョソウ、キンセンカ、グラジオラス、クリナム、コスモス、ジニア、シラン、シロタエギク、スイセン、ゼフィランサス、ゼラニウム、センノウ類、ダリア、トルコキキョウ、ナデシコ類、ネリネ、ハナショウブ、ハナタバコ、ハマユウ、ヒアシンス、ヒガンバナ、ヒマワリ、ヘチマ、ペチュニア、ホオズキ、マリーゴールド、ユリ類、リクニス、リコリス、リンドウ、ワタなど。

【観葉・多肉】オギ、ササ類、ジュズダマ、タケ類、ツワブキ、ヨシなど。

【樹木・果樹】アオギリ、アジサイ、アセロラ、アボカド、アンズ、イチジク、ウメ、エビヅル、オウトウ、オリーブ、カイドウ、カキ、カシ類、ガマズミ、カリン、カンキツ類、キイチゴ類、グァバ、クヌギ、クリ、クルミ類、サクラ、ザクロ、サザンカ、サツキ、サルスベリ、サンゴジュ、シャクナゲ、シャシャンボ、スギ類、ズミ、スモモ、タラノキ、ツガ、ツツジ類、ツバキ類、ドイツトウヒ、ナシ、ナナカマド、ネクタリン、バイカウツギ、パパイヤ、バラ、ハマボウ、ヒマラヤシーダ、ビワ、フジ、ブドウ、ブルーベリー、プルーン、ボケ、マツ類、マルメロ、マンゴー、ムクゲ、モミ、モモ、ヤマモモ、リンゴなど。

【ハーブ・野菜】アサ、アサツキ、アズキ、アワ、イタドリ、イチゴ、イネ、インゲン、ウド、ウリ類、エダマメ、エンサイ、エンドウ、オクラ、カボチャ、カリフラワー、キビ、キャベツ、キュウリ、クズ、コウライニンジン、ゴボウ、コマツナ、ササゲ、サツマイモ、サトウキビ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、ショウガ、シロウリ、スイカ、スイバ、ソラマメ、ダイコン、ダイズ、タデ類、タマネギ、チャイブ、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ類、ノビル、ハクサイ、ビーツ、ピーマン、ヒエ、フキ、ブロッコリー、マクワウリ、ミョウガ、ムギ類、メロン、ヨモギ、ラッカセイ、ラッキョウ、ラベンダー、リーキ、レモングラス、ワケギなど。

【ラン】アスコセントラム、コクレアンテス、シンビジウム、スパソグロッティス、デンファレ、パフィオペディルム、バンダなど。

主な種類

アヤニジュウシトリバウリハムシキバガ類キモグリバエ類・ヨシノメバエ類クキバチ類コブガ類ショウジョウバエ類・タマバエ類・ミバエ類シンクイガの仲間スガ類ゾウムシの仲間(食入する種類)・チョッキリ類タバコガ類タマネギバエトリバガ類ニセマイコガ類ネギコガハナアブ類ハリガネムシ類(コメツキムシの幼虫)ヨトウムシ類(食入する種類)