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素人園芸解説 -私はこう育てる-

植物の害虫:イモムシ・ケムシ

※ここでは基本的な事だけ記しています。種類ごとの、より詳細な解説・対処方法を見るには、このページの下方にある「主な種類」からどうぞ。

ここでいうイモムシ・ケムシは、ハマキムシやシンクイムシを除外してある。
大部分がガの幼虫で、一部、チョウの幼虫も混じる。ハチの幼虫もこの仲間に含めてある。なお、ハチといっても毒針を持たない種類なので、人への危険はない。

「イモムシ」という言葉は、正確には、イモ類の葉を好んで食害する「ススメガ科に属するガの幼虫」の総称である。(要するに、「イモに付く虫」だからイモムシ。)しかし、一般的には、「ガ、チョウ、ハチの幼虫で、体毛が全く無いか、あっても目立たないもの」を指すことが多い。
そして、「ケムシ」とは、「全身に多くの毛を持つ、ガの幼虫」の総称である。(チョウやハチの幼虫には、体毛の豊富なものは見あたらない。)毛の量は、全身フサフサのものから、まばらにしか生えていないものまでいろいろ。イラガのように、毛の代わりに細かいトゲが生えた種類もある。ケムシの中には、少数ながらも毒を持つ種類があり、注意が必要。

イモムシとケムシの区別は「体毛の濃さ」程度で、根本的には同じようなものである。ただし、ケムシは全てガの幼虫で、チョウやハチの幼虫には、毛深いものは存在しない。
また、ガやチョウの幼虫(鱗翅目の幼虫)と、ハチの幼虫の見分け方は、腹脚(体の後ろ半分にある吸盤状の脚)の数の違いにある。チョウ・ガは4対以下だが、ハチは5対以上ある。

発生時期

4~10月(最多発生は4~7月)

被害箇所

葉、花、芽、果実、ムカゴなど、地上部のほぼ全て。

形態など

老熟幼虫で1~10cm。体色は、種類によってさまざまだが、植物体と同系色の緑系や茶褐色、灰褐色系が多い。ただし、毒を持つ種類は、体色が派手になる傾向がある。
体毛の長さも、無毛の種類~まばらに生える種類、全身ふさふさの種類までいろいろ。
種類によっては、背面や尾部に角のような突起があったり、腹脚(体の後ろ半分にある吸盤状の脚)を欠き、シャクトリムシ歩きをするものもある。また、危険を感じると糸を吐いてぶら下がる種類もある。

発生回数はだいたい年1~3回程度だが、チョウは2~6回と、回数が多い傾向がある。
若齢幼虫の時期は集団生活し、老熟するにつれて、単独で生活するようになる種類が多い。

主な被害

食害する。植物体を端から丁寧に食べる種類もあれば、表面を削り取るように食べる種類もある。後者は葉脈を食べずに残すことが多い。ネキリムシの仲間は、小さな苗の地際部分を食害し、切り倒して枯死させる。
また、少数ながら、ハマキムシのように葉などを糸でつづったり、シンクイムシほど明確ではないものの、植物組織に食入するものもある。
その他、集団で糸を吐いて、枝の間に天幕状の巣を作る種類もある。

有毒種に刺されると、痛みや痒みを感じ、患部が赤く腫れる。刺された場合は、患部を冷水で優しく洗い、抗ヒスタミン系軟膏など(通常の虫さされ薬でよい)を塗れば、数日~一週間程度で治る。症状がひどかったり、なかなか治らない場合は、迷わず病院(皮膚科)へ。

対策

見つけ次第捕殺する。
若齢幼虫のうちは群れていることが多いため、葉や枝などの被害部分を丸ごと切り取って処分するのもよい。なお、このとき乱暴に扱うと、糸を吐きながら落ちてきたりするので注意する。

樹皮の隙間や根元の土、落ち葉の下などを調べると、越冬中の卵やサナギ、マユを発見できることがある。その場合は見つけ次第つぶしておく。


【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンD、アースガーデンW、アーデント、アクセル、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アファーム、アファームエクセラ、アプロードエース、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードジェットBT、ガードベイトA、ガードワン、カウンター、カスケード、カダンA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、クオーク、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイアジノンSL、ダイポール、ダブルアタックAL、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、デルフィン、トアロー、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バイオマックスDF、パイベニカ、バシレックス、ファルコン、ファイブスター、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、ロムダンなど。

【注意点】直接、虫体に付着させるタイプの殺虫剤であれば、種類を問わずよく効く。一方、浸透移行性殺虫剤は効果が低い。
ハチは鱗翅目ではないため、BT剤(エスマルクDF、ガードジェットBT、クオーク、セレクトジン、ゼンターリ、ダイポール、チューンアップ、ツービットDF、デルフィン、トアロー、バイオマックス、バシレックス、ファイブスター、ブイハンター、フローバックDFなど)が効かない。

幼虫が老熟するほど薬剤に強くなる傾向があるため、なるべく若齢のうちに駆除する。

薬害が出るため、アブラナ科植物に対しては、スミチオン系の薬剤を散布してはいけない。
サクラの場合、新緑の時期に薬剤を散布すると、薬害が出やすいので注意。BT剤(ゼンターリ、トアローなど)を使うとよい。

予防策

無用な電照を行わない。誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。通風を改善する。付近の雑草を除去する。窒素肥料を控える。
可能なら寒冷紗などで覆いを作り、その中で栽培する。天敵を殺すような強い殺虫剤を使わない。樹皮の隙間などで越冬するので、粗皮を削り落としておく。

主な被害植物

非常に多い。下記は一例。

【草花・鉢花】アイリス類、アサガオ、アスター、アマドコロ、アマリリス、アメリカフヨウ、アルストロメリア、イヌタデ、イワカガミ、インパチエンス、ウチョウラン、エノコログサ、エビネ、エリゲロン、エンジェルストランペット、オオマツヨイグサ、オキザリス、オダマキ、オトギリソウ、オトコエシ、オミナエシ、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、カラスウリ、カラマツソウ、カンナ、キク、キキョウ、キンギョソウ、キンセンカ、グラジオラス、クレオメ、クレマチス、クローバー類、ケイトウ、コスモス、ゴデチア、コンロンカ、サクラソウ、サルビア類、シオン、シクラメン、シャジン類、シュウカイドウ、スイートアリッサム、スイートピー、スターチス、ストック、スミレ類、ゼラニウム、センダイハギ、タチアオイ、ダツラ、ダリア、ツリフネソウ、ツルハナナス、デージー、テンナンショウ類、トウゴマ、トルコキキョウ、ナスタチウム、ナデシコ類、菜の花、ナルコユリ、ニチニチソウ、ハイビスカス、ハナショウブ、ハボタン、パンジー、ビオラ、ヒマワリ、ヒャクニチソウ、ヒョウタン、フォックスフェイス、フクシア、プリムラ類、フロックス、ヘクソカズラ、ベゴニア類、ヘチマ、ペチュニア、ホウセンカ、ホトトギス、ホリホック、ホワイトレースフラワー、マーガレット、マリーゴールド、ミソハギ、ミヤコワスレ、ムラサキハナナ、モクセイソウ、モミジアオイ、ヤグルマギク、ヤナギラン、ヤマモガシ、ユリ類、ヨルガオ、ラミウム、ランタナ、ルコウソウ、リシマキア、ルピナス、レンゲ、ワタ、ワレモコウなど。

【観葉・多肉】アイビー、アジアンタム、アスプレニウム、エノコログサ、ガジュマル、カラジウム、コリウス、ササ類、シダ類、シッサス、シバ類、ジュズダマ、シラスゲ、ススキ、タケ類、チガヤ、ツワブキ、パイナップル、ヨシなど。

【樹木・果樹】アオギリ、アオツヅラフジ、アオハダ、アオモジ、アカシア、アカメガシワ、アケビ、アコウ、アジサイ、アセビ、アブラギリ、アブラチャン、アベマキ、アンズ、イイギリ、イジュ、イスノキ、イチイ、イチジク、イチョウ、イヌガヤ、イヌツゲ、イヌマキ、イボタノキ、イワガラミ、ウメ、ウツギ類、ウバメガシ、ウルシ、ウワミズザクラ、エゴノキ、エニシダ、エノキ、エビヅル、エンジュ、オウトウ、オオコチョウ、オオハマボウ、オオヤマレンゲ、オニグルミ、オヒョウ、オリーブ、カイヅカイブキ、カイドウ、カエデ類、カキ、カシ類、カシワ、カツラ、カナメモチ、カバノキ、ガマズミ類、カマツカ、カヤ類、カラタチ、カリッサ、カリン、カンキツ類、カンボク、キイチゴ類、キウイ、キササゲ、キヅタ、キハダ、キブシ、キャラボク、キョウチクトウ、キリ、ギンネム、クサギ類、クスノキ、クチナシ、クヌギ、グミ、クリ、クルミ、クロガネモチ、クロモジ、クワ、ゲッケイジュ、ケヤキ、コウゾ、コクサギ、コゴメウツギ、コナラ、コブシ、ゴマギ、コムラサキ、コリンゴ、サイカチ、サカキ、サクラ、ザクロ、サザンカ、サツキ、サネカズラ(ビナンカズラ)、サルスベリ、サルトリイバラ、サルナシ、サワグルミ、サワラ、サンカクヅル、サンゴジュ、サンザシ、サンショウバラ、シイ類、シキミ、シデ類、シデコブシ、シナノキ、シモツケ、シャクナゲ、シャシャンボ、シャリンバイ、ジューンベリー、シラカバ、シロダモ、スイカズラ、スイフヨウ、スギ類、スグリ類、スズカケノキ、スダジイ、スノキ、ズミ、スモモ、センダン、ソテツ、ソヨゴ、タニウツギ、タニワタリノキ、タブノキ、タムシバ、タラヨウ、チャ、ツガ類、ツキヌキニンドウ、ツゲ、ツタ、ツツジ類、ツヅラフジ、ツノハシバミ、ツバキ類、ツルウメモドキ、ツルマサキ、テリハボク、ドイツトウヒ、ドウダンツツジ、トウヒ、トチノキ、トドマツ、トネリコ、ドロノキ、ナギ、ナシ、ナツツバキ、ナナカマド、ナラ類、ナラガシワ、ナンキンハゼ、ナンテン、ニシキギ、ニセアカシア、ニッケイ、ニレ類、ニワウメ、ニワトコ、ヌルデ、ネジキ、ネズミモチ、ネムノキ、ノウゼンカズラ、ノブドウ、ノリウツギ、ハギ、バクチノキ、ハクチョウゲ、ハコネウツギ、ハシドイ、ハゼノキ、ハナイカダ、ハナミズキ、ハマニンドウ、ハマボウ、ハギ、ハコヤナギ、ハスカップ、バラ、ハリエンジュ、ハンノキ、ヒイラギ、ヒイラギナンテン、ヒサカキ、ヒノキ、ヒバ類、ヒマラヤシーダ、ヒメユズリハ、ヒメリンゴ、ビャクシン類、ヒョウタンボク、ビラカンサ、ビワ、フサアカシア、フサザクラ、フジ、ブッドレア、ブドウ、ブナ、フヨウ、プラタナス、ブルーベリー、プルーン、ホオノキ、ボケ、ポプラ、ホルトノキ、ボロボロノキ、マサキ、マタタビ、マツ類、マメガキ、マユミ、マルメロ、マンサク、ミズキ類、ミツバウツギ、ミヤマシキミ、ムクゲ、ムクノキ、ムクロジ、ムベ、ムラサキシキブ、メタセコイア、モクセイ類、モクレン、モチノキ類、モッコク、モミ類、モミジバフウ、モモ、ヤシャブシ、ヤナギ類、ヤブニッケイ、ヤマブキ、ヤマブドウ、ヤマボウシ、ヤマモモ、ユキヤナギ、ユスラウメ、ユズリハ、ライラック、リョウブ、リンゴ、ワレモコウなど。

【ハーブ・野菜】アカザ、アシタバ、アズキ、アスパラガス、アブラナ、アルファルファ、アワ、イタドリ、イチゴ、イネ、インゲン、エダマメ、エンサイ、エンダイブ、エンドウ、オオバコ、オクラ、カブ、カボチャ、カラシナ、カリフラワー、キクイモ、キハダ、キビ、キャベツ、キュウリ、クズ、クレソン、ケール、コールラビー、ゴボウ、ゴマ、コマツナ、ササゲ、サツマイモ、サトイモ、サトウキビ、サントウサイ、シオデ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、ショウガ、シロナ、スイカ、スイバ、スベリヒユ、セージ、セリ、セロリ、ソバ、ソラマメ、ソレル、ターサイ、ダイコン、ダイズ、タカナ、タデ、タマネギ、タンポポ、チコリ、チンゲンサイ、漬け菜類、ディル、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナガイモ、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ類、ノザワナ、ハクサイ、ハコベ、バジル、パセリ、花菜、ハニーサックル、ハハコグサ、ビーツ、ピーマン、ヒエ、ヒロシマナ、フェンネル、フキ、フジマメ、フダンソウ、ブロッコリー、ホウレンソウ、ホースラディッシュ、ホップ、ボリジ、マメ類、マロウ、ミズナ、ミツバ、ミョウガ、ミント類、ムギ、芽キャベツ、メロン、モロヘイヤ、ヤマイモ、ヤマノイモ、ユウガオ、ヨモギ、ラッカセイ、ラディッシュ、ラベンダー、ルー、ルバーブ、レタス類、レモンバーム、レンコン、ロケット、ワサビなど。

【ラン】エビネ、カトレア類、スタンホペアなど。

主な種類